飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「朽ちた神への聖謡譚(ファンタジア)」感想

朽ちた神への聖謡譚 (MF文庫J)

〈あらすじ〉
かつて「大崩壊」と呼ばれた時代に世界を救った神の化身【聖骸】。
ペリクリーズ王国公認の操鎧士を目指し王都にやってきた少年・マキトは、予想外の事態に遭い、受験に落ちてしまった。
失意のマキトだったが、帰りに立ち寄った教導院の地下で、朽ちた化石を思わせる【聖骸】の中で眠る謎の少女・ククルと出会う。
その時、突如災いの源【渦獣】が襲来。そして、少女は囁いた――「こづくり、しましょう?」と。
その言葉が、止められた「神話」を覚醒させ、白銀に輝く神の化身<クロウクルワッハ・ユリゼン>に命を吹き込む。
少年と少女が神の化身を操るとき、長き眠りから覚めた「神話」が咆哮を上げる――。悠久の刻を紡ぐ王道クレイドル・ファンタジー! 

MF文庫Jのタイトルルビ振り芸も板についてきたねえ。おじいちゃんラノベ読みの僕は横文字対応していないので、基本そのまま読みます。例えば『魔弾の王と戦姫』は「いくさひめ」もしくは「せんき」と読む悪い子ちゃんなのです。

本題とも無関係の話題はこれまでにして、本作品の内容について。ファンタジー世界を舞台にしたロボットモノで、『聖骸』と呼ばれる神の化身に乗ることになった主人公と、その『聖骸』の中で眠る記憶喪失の美少女が出逢ったことから、物語は本格的に幕を開ける。

世界観は良きファンタジー世界といった感じで、入り込みやすい設定になっている。またロボット…機鎧も複雑な設定を読ませることもないため、これといった物語に対する抵抗を受けないのだが、ある意味で、軽すぎる設定が物語に深みを与えず、サクサク読ませすぎてしまうというか…読み終わってなかなか感想を抱けない事態に。主人公とヒロインのキスが『聖骸』が動く鍵になる、とかエロコメ的要素を盛り込んでいるものの、やはりキャラクターにして背景が薄いのが気にかかる。世界観が好みなだけに、あと数歩、物語に厚みをつかせる設定と背景が欲しかったと思う。

ククルにしても陛下にしてもレティシアにしても、ヒロインに不足はない。MF文庫Jらしさ、というと語弊があるかもしれないが、「可愛いヒロインたち」の存在は重要であることを考えると、その問題をクリアーしているだけに、勿体無いと感じる。必要なものはあと少し。工夫があればと悔しくも思う。