飼い犬にかまれ続けて

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「戦国ぼっち attack of the Hojo army」感想

戦国ぼっち attack of the Hojo army(桜ノ杜ぶんこ)

〈あらすじ〉
「絶体絶命だ! ボコられて体中痛いし、どうやらここは牢屋みたいだ……」。
戦国時代をこよなく愛する高校生・高杉一郎太。周りから「歴ヲタ」と呼ばれる彼は正しく【ぼっち】であった! 休日【ぼっち】な彼がただ一人、群馬県北部の城趾を散策していると突然光に包まれてしまう。気がつくとそこは戦国時代── それも北条の大軍が押し寄せる【チンケな山城】だった。
困難な籠城戦に加え、味方軍師の暗殺事件など……次々と起こる絶体絶命な事件。
裏切り者はダレ?
【ぼっち】は押し寄せる北条軍から美女たちとチンケな城を守れるのか?
実は某所で10 年以上歴史モノを書いていた真性の歴ヲタである著者が構成する【リアルな戦国】を舞台とした歴史ファンタジーが今はじまる!

初・桜ノ杜ぶんこです。
『戦国ぼっち』のイラストを飾るヒロインたちが皆可愛いんですよね。目を惹く表紙だっただけに、裏面にあらすじ記載がなかったり、表のカバー折り返し部分が空白で勿体無かったりと、カバーのデザイン面で足りないところが気になった。もう少しカバー全体を有効に使えば良くなると思います…好き勝手なこと言ってるなあ。

初めて触れるレーベルの本だと、そういうことも気になりますが、一番重要なのは中身…物語。
重度の歴史オタクの主人公・高杉がタイムスリップしたのは戦国の世。北条家に攻め込まれようとする海野家の窮地を、歴オタ高杉が救うことが出来るのか…という、戦国時代にタイムスリップする設定には目新しいものはないけれど、400頁弱のこの物語を楽しんで読むことが出来た。そのことに大きく貢献しているのは、高杉を囲む三人のヒロイン…そう、表紙の女の子たちの可愛らしさがあったから。海野家家老の娘・麗、海野当主の実妹・有貴姫、平民である狩人の娘・りよ。身分も性格も違う三人のヒロインたちは、何処からどう見ても不審者の高杉の危機を幾度も救っては、彼の隣にいようとある種の戦いを繰り広げる。

では、そんなヒロインたちが争う火種になっている高杉の魅力は、というと、幾度も命を落としかけたことで「生き方」を見直し、戦国の世を必死になって生き抜くことを決意する流れは良いのだけれど、結局危機を脱する方法が運任せすぎるのではないかと思う。また高杉が積極的に関わっていくのが『戦』そのものよりも、領内に紛れ込んでいる暗殺者捜索に重点を置いているため、どうにも戦いのスケールの割にやっていることが地味に写ってしまう。読者としては『歴史オタク』の設定を活かして、戦局を左右する奇策を提示する等、戦場での活躍をもっと見たかったかな。そうすれば「運任せ」に見える状況も打開できたかと思う。なにはともあれ、主人公が華やかに活躍する姿を見たかった。

最後の別れに関しては、意外とあっさりしているなあ、というか、急ぎ足で幕を閉じようとしていたのが物足りなかったが、その後の引きは、いったいどういうことなの…(笑)麗さんは現代で暮らせば良いのでは、と無責任なことを思いました。高杉が再び戦国時代に戻るというならば、もっとスケールの大きい活躍をしてくれると嬉しい。