飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「ナイツ&マジック 1」感想

ナイツ&マジック 1 (ヒーロー文庫)

〈あらすじ〉
極度の「メカオタク」だった一人の日本人が、異世界で『エルネスティ・エチェバルリア(エル)』として転生した。
その生まれ変わった世界に存在する巨大な人型兵器「幻晶騎士」と出会ったエル。
彼は狂喜乱舞しながら、その操縦者となるべく行動を開始する。
この世界での幼馴染を巻き込みつつ、メカオタクとして思う存分本物のロボットを操る!
小説投稿サイト「小説家になろう」で大人気のロボットファンタジーがついに書籍化。

初・ヒーロー文庫です。
何だか初が続きますね。春だからでしょうか…はい、どうでもいいですね!
買うキッカケがそもそも黒銀さんイラストでしかもロボットモノだったから、というのは動機としては不純ではないはず。しかし「黒銀さんイラスト+ロボットモノ」続きますね。ここ最近ではこれで三作品目ですか。何にしても、黒銀さんイラストは映えるな!
カバーに関して特段言うことはないけれど、表カバーの折り返しにイラストが入っていてシャレオツな気がします。なんだよシャレオツって…。

さて内容について。
まず正直に…面白かった!クール美少年なんだけど、内面はやりたいことに対して手段を選ばない熱い主人公で、読んでいるこっちにも感染して滾ってくる!

現代日本で企業戦士として働いていたメカオタクの日本人が、不慮の事故で死亡。そして転生した先は、憧れのロボットが国の要として活躍する剣と魔法のファンタジー世界。前世の記憶を宿したまま、新たな人生を開始した主人公エルは自我が目覚めたその瞬間からロボット…巨大人型兵器『幻晶騎士』のパイロットにため、がむしゃらに突っ走り出す。

メカオタクの主人公が異世界に召喚されるのではなく、転生して幼少期から物語が明ける流れは良くある設定に見えて、実は珍しかったりする?あまりこういう設定に出会ったことないな。
まだ自我に目覚めて日の浅い子供の中にある「メカ大好き!」オッサン魂。愛することのためならどんな努力も惜しまないその姿勢…オタクの鏡だと思います。ハイスペックの容姿と肉体を武器に、一歩一歩、ではなく、相当の段抜かしで突き進んで行く澄まし顔のエルは根性も座っている。これが経験の差って奴か…!(笑)
キッドとアディ。双子の兄妹を良き理解者・良き友人として共に切磋琢磨する。健全な魂は健全な肉体に宿る、か、どうかはともかく、三人の温かい性格に読み手としては救われるところもある。

しかしことロボットのことになると正気の沙汰とは思えない行動を取るエル。そしてエルがその無茶苦茶な行動を移すに値する能力を持っていることを、この作品はしっかり描写してきている。大好きなロボットに搭乗するためなら命すら惜しまない。でもそう簡単に死んで溜まるかと冷静に熱くなるエルは、ある意味狂っていると思われても仕方が無い。

まだ12歳(中身は合計40歳だけど)のエルには無限の可能性がある。が、多くの人を魅せた、あるいは畏怖させた少年の可能性は、いったいどんな結果に向かって行くのか。続きが非常に気になる。