飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「四百二十連敗ガール2」感想

四百二十連敗ガール2 (ファミ通文庫)

〈あらすじ〉
もはや告白してもいないのにフラれてしまう主人公、石蕗ハル。
そんなある日、ハルに優しい言葉をかける謎の美少女が現れた。毒空木の鬼メモによってわかった彼女のいる先は……『デレ園水泳部』。
全告ツアーの前に情報収集=仮入部へ、鬼気迫る毒空木と、水泳と聞いて泣き喚く時宗さんだが、水泳部はもちろん男子禁制! チィィックショオオ! 指をくわえて待つしかないのか!? ん? どこからか甘酸っぱい果物の香り? 水着満載&果汁200%の第2巻登場!

突飛な設定だけで終わらず、最初から最後まで全力で駆け抜け、読者を笑顔にさせるこの筆力は今回も健在。こんなに上質なラブコメが読めるなんて、ボカァ幸せモンだなあ…(言い過ぎ)

ラブコメものといったら、そう、水着です。それではプールに行きましょう。
いや、そんな理由ではないが、ハルが女子水泳部の葵に惚れてしまう序盤戦。毒空木や時宗さんという魅力的だけど残念ガールズを華麗に無視して、惚れた女の子に夢中になるハルさん流石です…流石のクズです。
しかし今回は変態ハルに対し、どんな不幸か、相手の葵も気になっている様子。毒空木と時宗のSMコンビも早々に板についてきた感じで笑いを誘うのだけど、読者的には何故女子しかいないはずの水泳部の描写を一人称視点のハルがやっているのか疑問に思うと同時に、ある程度オチまで読めてしまうのだが…絶妙なタイミングでフラグをへし折ってきますねえ。ハルさん流石です…流石のクズです。

そして本編となる『ゆずり編』へ。
四天王のハルに毒空木、そして『天然少女』のゆずり。人格的にろくな奴等ではないのが分かっているだけ、会うのが怖いがやっぱり変態だったか。頭にパイナップルが生えている大和撫子。その発想はなかった…いや、そんな発想すんなや。
しかも何故だがハルに惚れて告白、即彼女になる展開。落ち着け…落ち着くんだ、毒空木!これにはきっと何かある!ハルに彼女が出来る訳がない!
はい、その通りでした。正直言えば薄々この展開に気づいていました。でもゆずりの野獣のような行動まで読めなかったぜ。すまない、毒空木…。

こと『恋愛』に対して似たようなところのあるハルとゆずり。二人の共感は友情に発展するが、このアホ二人を一緒にいさせるのはいろいろ危険ではないか…ただでさえ毒空木と時宗コンビで騒がしいのに。
連敗記録をじわじわ伸ばしながら、毒空木を彼女にする未来もまた幸せなんじゃないだろうかと思い始める今日この頃。