飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「“空蝉" ヒカルが地球にいたころ……(7)」感想

“空蝉

〈あらすじ〉
ヒカルの"最愛"。その人の想いを尋ねようと訪れた教会で、是光とヒカルは清楚な女性に出会う。空という名の彼女は、"天使の子"を身ごもっているという……。「どうしよう。きっと僕の子だ」「って、何だとぉ――っ!?」空と子供を守ろうと奔走する是光だったが、学園に誤報が飛び交い、あらぬ疑いをかけられて……!?  ヒカルの子供の存在に動揺する葵、蠢動する一朱。様々な想いが交錯する中で、隠された真実が明らかになる――! 大人気学園ロマンス、第7巻!!

「愛されるよりも愛したい」
どこぞの歌詞ではないけれど、今回の結論はこれに尽きたなあ、と。
『空蝉』…ヒカルの子を身籠ったらしい女性・空を中心に物語が展開されていくが、真の部分では、是光の心の奥底に突き刺さる『母親との関係』を見つめ直し、救われて行く物語であった。

前半。空とヒカルの関係が妙な形で学園に伝わり、何故か朝衣と是光の根も葉もない関係が広まる流れが非常に楽しい。朝ちゃんイイキャラになって嬉しいなあ。是光の最大の理解者/協力者が式部さんではなく、今回は朝ちゃんであったのも、なんというか、式部さんの危機感を煽っているような気がする。実際、物語の重要な場面で隣にいた女性は葵であったことから、式部さんが追いやられて行く感じがするのだが、しかしその状況を作ってしまっているのは本人でもあるから、何ともフォローしにくい。式部さんには頑張って貰いたい。

空の虚言は自分を守るための盾。本当は弱い彼女は、ある意味是光と一緒で「愛される」ことを望んでしまっていた。それがいけないことなのか、どうなのか。その結論は出ない。それでも「愛される」ようとするのをやめて、「愛そう」とした時、是光と空の視野を開けたと思う。

次回は「愛する」ことを決めた時から一生懸命頑張ってきた、みちるのお話。恋に敗れたと思われた彼女はどんな行動をするのか?また式部さんをどう突き動かして行くのか?楽しみで仕方ない。