飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 3」感想

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 3 (GA文庫)

〈あらすじ〉
「……君は、臆病だね」
「!?」
「臆病でいることは冒険で大切なこと。 でもそれ以外にも、君は何かに怯えてる」
突如憧れの女性【剣姫】アイズと再会を果たしたベル。
そこで突きつけられてしまった事実。
自分を抉る最大の因縁。
紅い紅い、凶悪な猛牛・ミノタウロス。
少年はそんな自分を情けなく思った。
そして少年は初めて思った。
僕は── 英雄になりたい。
『偉業を成し遂げればいい、 人も、神々さえも讃える功績を』
これは、少年が歩み、女神が記す、
── 【眷族の物語(ファミリア・ミィス)】──

もう馬鹿になんてさせない。
ベルがひとりの『冒険者』としての、本当の第一歩を刻み込む。その光景を目にしたある者は息を飲み、ある者は嫉妬し、ある者は声を上げて笑い、そしてある者は…彼の行く末を見守るように、その背中を見つめた。

ベルにとって力の源であり憧れであり目標でもある女性・アイズ。自己の成長速度を過小評価しているベルに実感はないが、目利きの女性たちは彼に熱い視線を向けている。またその中には、ベルにとって『毒』になる女神の視線も含まれていた。
アイズ・ヴァレンシュタイン。彼女もベルに惹かれ始めた女性。いや、『冒険者』として、という方が適切かもしれない。
彼女がベルにもたらしたものは、ある意味で毒よりも効果を発揮する変化だった。ようやくアイズとお近づきになれて、何かしら期待をしながら、でも彼女の偉大さに己の小ささを痛感し、それでも『冒険者アイズ』の背中を追うことを辞めようとはしなかった。

だから、因縁あるミノタウロスと対峙した時、最後にベルを奮い立たせたのは「男としての意地」であったに違いない。英雄になりたい。そう語る冒険者の少年は挫けかけた心を、熱く燃え滾る想いで支えるどころか力に変えて、ミノタウロスに襲いかかる。そしてその死闘をアイズは、『冒険者ベル』が生み出されることを揺るがぬ想いで見守り続けた。

物語始まりから…ベルが馬鹿にされた瞬間から心にあったしこり。それが取り払われて、馬鹿にした人間を見返したことにガッツポーズをせざるおえない。ベルがそれをやらない分、読者である僕たちがスカッとしてやった。勝手な言い草だな(笑)

レベル2へと飛翔したベル。もう馬鹿になんてさせない。確かな一歩を踏み出したベルには、敵も、味方も、きっと多くなることだろう。