飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「対魔導学園35試験小隊 4.愚者達の学園祭」感想

対魔導学園35試験小隊    4.愚者達の学園祭 (富士見ファンタジア文庫)

〈あらすじ〉
残存する魔力の脅威を取り締まる『異端審問官』の育成機関、通称『対魔導学園』には、劣等生の寄せ集め部隊『第35試験小隊』が存在する。
昇級ポイントを賭けた学園祭『魔女狩り祭』の準備を進めるタケルたちの前に、西園寺うさぎの婚約者・天明寺礼真が現れる。
西園寺家存続のため、うさぎは退学し、すぐに礼真と結婚しなければならないという事実が判明し――。
そんな中、桜花は学園内に侵入した魔女の捜査を生徒会から依頼される。その魔女は<悪魔>と呼ばれ『他人の身体を奪う』という能力を持っていて――。
迷える少女の呪鎖を断ち切る学園アクションファンタジー!!

通称に違和感を覚えずにはいられないほど実は強い雑魚小隊。最後にスポットが当たるのは、気弱なスナイパー・うさぎ。
彼女の心を蝕む運命を、草薙が、桜花が、マリが、斑鳩が、そして何よりもうさぎ本人が、切り払うため奮闘する。

「うさぎは孤独では生きていけない」
そんな言葉を思い出す。
西園寺うさぎ。没落する西園寺家の復権のため、無能な上に一族の厄介者扱いされているうさぎは、政略結婚の道具として、婚約者の元に送り出されようとしていた。
うさぎの変化になかなか気付くことの出来なかった雑魚小隊であったが、流石は斑鳩というか、良く人を見ている。斑鳩の言葉を受け、うさぎの事情を知ることになった草薙は、ちょうど行われる学園祭のイベントで、うさぎの劣等生扱いをひっくり返そうと行動を開始。仲間たちの協力を得て和気藹々とイベント設営を始めるも、学園祭実行委員長であるうさぎの許嫁・礼真と、人の身体に憑依する魔女・メフィストが暗躍し、雑魚小隊を苦しめることになる。

徐々に仲間意識を強め、絆の生まれた雑魚小隊。何処にも居場所のなかったうさぎに取って、唯一仲間と居る場所が、心安らぐ場所であった。その居場所を奪われようとした時、うさぎは無抵抗だった弱い自分をかなぐり捨てて、最後には押し寄せる絶望の波に立ち向かい、仲間のために見事な戦いを繰り広げることになる。
うさぎを苦しめる二人の下衆野郎・礼真とメフィスト。普段はのほほんとしているが、一度火が付くと手が出せない草薙を着火させるのは十分すぎる悪役っぷりを披露。案の定、キレた草薙は強い。うさぎを苦しめた分、キッチリ返してやった!マリ、斑鳩にしても役割が与えられて、見せ場十分。桜花も仲間との絆から得た精神力でメフィストに抗い、身体から押し出して見せた。しかしラピスにしてもブラドにしても実は可愛い性格をしていることが判明してほっこりする場面も。

これで雑魚小隊全員を見せる物語は終了。次回以降、物語の本質へと食い込んでいく。理事長の暗躍は一体何を目的としているのか…生徒会よりになってきた雑魚小隊。そろそろこの通称、改めてもいいよね…。