飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「浮遊学園のアリス&シャーリー 1 」感想

浮遊学園のアリス&シャーリー 1 (オーバーラップ文庫)

〈あらすじ〉
街が空中に浮かべられるくらいの近未来——特有幻想(ディアレクト)という異能力に覚醒してしまった者たちは、一般社会から隔絶された空中学園都市《楽園(カナン)》に集められていた。
柾貴は菓子作りが趣味の平和な高校生だったのに、最高レベルの幻想具現者(グローバーバライザー)と判定され転校してくる。
再会した幼馴染みのシャーリーと、物静かで不思議な少女アリス。
ふたりは、幻想悪用の校則違反者を取り締まる《規律委員(ブレイカー)》の最強ペアだったが……ささいな口論からチームを解消してしまう。
しかも、柾貴は最高レベルだという理由でアリスから、新しいパートナーに選ばれてしまい……!?
最強!最凶?紅茶とお菓子の異能学園バトル——レベルMAXで開幕!!

オーバーラップ文庫はたった二ヶ月で色んな作品を見せてくれますねえ。ここまで新作全部読んできましたが、楽しませて頂いています。
設定自体は正統派の異能学園モノ。近未来的な世界観でありながら、メルヘンな要素も合わせて持ち、不思議な雰囲気を出している。

『特有幻想』と呼ばれる異能を持つ少年少女を隔離している浮遊学園都市『楽園』にやってきたのはお菓子作りが得意な、何処か呑気な少年・楠木柾貴。最高位の『特有幻想』を持つ元気な幼馴染・シャーリーと再開したのも束の間、柾貴は暴走する『幻想具現者』に襲われ、命の危機に晒される。しかし柾貴の危機を無自覚に救ったのは、何処か浮世離れした人形のような美少女・アリスだった。アリスもまた最高位の『幻想具現者』であり、元シャーリーのパートナー。柾貴のことを気に入ったアリスは、彼を新たなパートナーに選び、違法に能力を使う『規律委員』としての仕事に巻き込まれて行くことになる。

出だしにも書いたけれど、設定にしても設定用語にしても取り立てて目立つものはない。楽しむポイントはタイトルにもなっているシャーリーとアリス、二人のデコボコ美少女コンビ…元コンビと、普通の少年と呼ぶには度胸の座っている柾貴との会話、絡みの部分かな。元気いっぱい自己表現をするシャーリーは太陽のように、独特の雰囲気を持ち気高さを感じさせるアリスは月のように。それぞれの魅力と異能の前に、柾貴もタジタジになるのだが、喧嘩している元コンビのことを想って発言する様に彼の真摯な姿勢が見られる。

シャーリーのド直球な攻撃的な能力はともかく、アリスと柾貴…特に柾貴の能力は凄いんだけど、活用のしように困る力ではあるけど、そこに派手に暴れると周囲の被害がとんでもないものになる『お助け猫』コンビの力を外に漏らさずに済む、というのは色んな意味で助かるな。思いっきり暴れられる…まあアリスは関係なしに暴れているけど。

キャラクター作りに文句はない。後はこの作品の続きを読みたくなる展開だよなあ。何かもうひとつ味…題材を加えると良くなるように思えるのだが。