飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「花屋敷澄花の聖地巡礼」感想

花屋敷澄花の聖地巡礼 (電撃文庫)

〈あらすじ〉
行人がクラスメイトの夏奈からお願いされたのは、花屋敷澄花という女の子のお見舞いだった。だが部屋に入ってみると、そこは東京の街が広がっていて──。
澄花の趣味はアニメやマンガなどの聖地を巡礼すること。ずっと引きこもり中の彼女は、ネットのストリートビューやAR技術を駆使して聖地を訪れた気になっていた。
いつか自分の聖地巡礼サイトをいっぱいにするという野望を持ってはいるものの、部屋&こたつからまったく出てこない澄花。
そんな彼女の聖地を求め、行人は一肌脱ぐことにするのだが──。

聖地巡礼。
ここ数年で良く耳にする言葉になりました。物語の舞台に実在する場所を使うのは今に始まったことではないけれど、わざわざその土地を訪れて、キャラクターたちの足跡を追い、思いを馳せる…という一連の行動を街を上げて行うようになったのは、年寄り臭いとは思いつつ「そういう時代なのかな…」とぼやいてしまう。ちなみに僕は聖地巡礼はしたことありません。
僕の住んでいる街のすぐ近くに某有名聖地があるけれど、そこにすらちゃんと行ったことはなかったりします。

『聖地巡礼』大好きな女の子。でも可愛いその子は…七年間外に出たことのないひきこもりだったのです。
即時矛盾点にツッコミを入れたくなる設定。面倒見が良くお節介と言われる主人公の行人は、女友達の頼みを聞き、不登校の同級生・澄花と『友達』になるために彼女の家を訪れた。そこで行人を待っていたのは、部屋を占領する『街』と、亀の甲羅のようにコタツを背負った美少女との出逢いだった。

部屋に立派な聖地のジオラマを作り上げ、その聖地に行った気持ちになっている、何とも可哀想な発想と労力の下、趣味を楽しんでいる澄花。過去のトラウマによって、家から出られなくなった澄花を、何とか外に連れ出せないかと思考する行人。柔軟な発想というか、かなりの力技で澄花を外に出すことに成功した行人は、彼女とデート…じゃなくて本当の聖地巡礼を重ねて行くことになる。

しかしまあその聖地巡礼。出版社事情的にそうなるかな、と思っていたがやっぱり電撃文庫作品聖地巡礼になりましたー!
電撃文庫原作アニメも売れてますからねー…自分がいかにラノベの実際の舞台を気にかけていないか良く分かった。それと行人と澄花の距離の近さに振り上げた嫉妬の拳を何処に振り下ろしていいか…(震え声)

一度外に出てしまえば、自然と次に繋がる。重要なのは初めの一歩。その後押しをするのが行人は非常に巧かった。すんなり行くことばかりではないけれど、このバカップルなら問題なく潜り抜けて行けるさ。