飼い犬にかまれ続けて

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「漆黒のエインヘリアル」感想

漆黒のエインヘリアル (電撃文庫)

〈あらすじ〉
かつて、オーディンをはじめとする北欧の神々は「神々の黄昏(ラグナロク)」と呼ばれる最終戦争により滅び、その異能の力である神紋(ルーン)は人間へと受け継がれた。
「血誓兄弟(フォースブレーズ)」のロスト――ノルンの民の生き残りである彼は、家族を殺された悲劇を代償として得た神紋により一族を滅ぼした者たちへと復讐を誓う。
だが、彼の前には強大な神紋を持つ皇帝直属の精鋭集団「ビフレスト」が立ちはだかるのだった……。
神紋を持つ者の戦い、その宿業は北欧神の陰謀か、それとも終焉の予兆か。
運命の男を中心に物語は静かに動き出す。

なんというか、勝手に想像していた展開と随分と違うものに。北欧神話を題材に使ったファンタジー小説なのだけれど、思ったよりも話の風呂敷は広がらず、では物語を小さくまとめようとしているのかと思ったら、続編想定の終わり方をしていて、方向性が良く分からない。

北欧神話に登場する神々の力を宿す『グリームニル』によって、一族を奪われたロスト。成長した彼もまた『グリームニル』として、一族の滅ぼした皇帝を討つため、『血誓兄妹』と呼ばれる組織のリーダーとなり、復讐を開始する。しかし異能力よって迷宮化した城に引きこもる皇帝を倒すのは至難の技…であったが、『グリームニル』同士を殺し合わせる『神紋演武』の優者の前に皇帝が姿を現すことを知ったロストたちは、半ば乱入する形で『神紋演武』に参加することになる。

冒頭の壮絶な虐殺…インパクトのある場面から突入し、主人公ロストが背負うことになる背景に圧倒される。これだけのことをされて、家族を奪われて、そして力を手に入れれば復讐を考えるのも自然なこと。
敵は一族を滅ぼすように命令した皇帝。強大な敵だ。皇帝の前に立つにはどれだけの苦難があるのか…この物語は壮大なものになるだろう。

そう思っていました。が、実際は強大な敵は立ちはだかるものの、冒頭のスケールの大きさ、ページ数の多さに対して、拍子抜けするほど、とんとん拍子でロストと仲間が敵を打ち倒していき、皇帝直下のグリームニル集団『ビフレスト』をもサクッと殺していく。繰り返しになるが、強大な敵はいる、だがそこに至る展開があまりにも軽すぎる。深く重い背景に比して、復讐の道のりが一読者が思ったほど険しくないのはどうなんだろうか。また『ビフレスト』から離反するものが現れるところも、あまりにも簡単というか、心変わりする段取りすっ飛ばしている感じがして物足りない。

ほんと冒頭が良かっただけに(悪趣味)に、その後の展開が残念だったな、ということに尽きる。こじんまりと物語を閉じるのなら良いのだけど、シリーズ展開を匂わせる終わり方しているのが納得できない。これは綺麗に物語を締めてしまった方が良かったように思えるのだけど…。