読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「8番目のカフェテリアガール 東京なごやかプロジェクト」感想

ライトノベル 集英社スーパーダッシュ文庫

8番目のカフェテリアガール 東京なごやかプロジェクト (集英社スーパーダッシュ文庫 い 6-3)

〈あらすじ〉
極度の味噌アレルギーで東京に逃避行する高校2年の米田シロ。ある日妹のなごのがシロを連れ戻そうと上京してくるが、突如目の前でシロの働く学食「満天」が爆発する。日本最大を誇るその学食では8つの食堂が覇を競い、日夜デス・ゲームが繰り広げられているのだった。
愛する店長代理の天のため、過激なバトルを生き残ろうと必死なシロに感化されたなごのは店に協力することに。
ダメ食堂「満天」。その立て直しはなごのの手に託された。
しかしなごのは〝魔都〟名古屋の申し子で……?

こいつが噂に聞く名古屋ラノベかぁ…へっへっ、ちょっくら味見を…ペロッ…こ、これは味噌の味!?

僕が名古屋に行ったのは随分と前…名古屋に戻った先輩の結婚式に招かれた時の、一回きり。その時は『名古屋』に対する期待も偏見もなく、ただ呼ばれたからと友人の車に乗り込み、長い道程を揺られながら到着。友人たちに「せっかく名古屋に来たんだから…」とあっちこっち連れ回された記憶があります。味噌煮込みうどんと、コーヒーに着いてくるモーニングも食べました。「名古屋の結婚式はド派手だぞ」と言われて出席した先輩の結婚式も、二次会含めて驚くほどお金を使っていたように見えました。名古屋…これが名古屋なんだ…!

あれ?本題を忘れかけているぞ?
と、いこうとで、カフェてりあガール…じゃなくて『8番目のカフェテリアガール』の内容に移っていきます。

故郷・名古屋が大嫌いでひとり上京してきた主人公のシロは、お茶の木学園に入学し、その学食…巨大フードコート内にある喫茶店『満天』で働いていた。しかしこの『満天』はフードコートにある八つの店舗中、最下位の売上/客数で、いつ撤退を言い渡されてもおかしくない危機的状況。『満天』を切り盛りするオーナーの娘・天と、暗器使いの料理人・かこはそれぞれ客商売には向かない欠点があり、それが更にシロを悩ませる。そんな中で、シロを追いかけるように上京してきた彼の妹・なごのが、フードコート内に嵐を呼び込む。『名古屋流』とも呼べるその暴風雨は、最底辺の『満天』を救うことが出来るのか!?

まずは腹黒ハイテンションガール・なごのの魅力に心を掴まれる。まさに鷲掴み、といった感じの、酷く乱暴な掴み方ではあるが、しかしその力強さに引き込まれるものがある。シロの『満天』を助けたい想いを知って、破天荒ななごのの『名古屋流』のどんでん返しが火を吹くぜ!
今更『満天』に中途半端な風を吹き込んでも立ち直れない。ぶっ壊すくらい派手にやってやらないと駄目だ。それを実行に移すなごの。強豪店舗を相手に、常識を疑うような料理を提案、客に直撃させる。このおかしなメニュー…今の僕なら知っているぞ…これは『喫茶マウンテン』じゃないですかーー!!

すぐそこに迫る危機から何とか脱した『満天』はなごのを仲間に加えて、名古屋かな日々を…じゃなくて和やかな日々を送り始める。2ページ毎に区切りを設け、小さな話題がコロコロと変わり、飽きがこない構成にしているのは見事。ページを捲る度に次はなごのが何を口走り、シロがどうツッコミを入れるのか楽しみで、そして笑ってしまうのを止められない。

しかし危機は終わらない。
ライバル店との客数をかけたバトル。弱小『満天』とランキングトップ店との熱い戦い…そうです、これを待っていたぁ!
臨機応変、柔軟な対応が求められる、「生き物」と呼ぶに相応しい現場で奮闘する『満天』たちは、圧倒的な力に膝を折らず、必死になって頭を回転させて戦い続ける。本人も意識せず、その先頭に立って戦う様を見せつけたシロの株は読者内で急上昇。歓喜に沸くラストに向けて爆進だ!

全てが丸く収まり、ハッピーエンドを迎えたかと思ったが…なごの、やはり腹黒い娘だみゃー…恐ろしい奴め。彼女の暗躍が最終的に『満天』にとって良い結果に繋がるのか、それともその反対になるのか。今はまだ分からない。
妹の押しに負けず、頑張れよ、シロ!!