飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「時の悪魔と三つの物語 」感想

時の悪魔と三つの物語 (HJ文庫)

〈あらすじ〉
「わたしね、ラキが帰ってくるまで、絶対に泣かないよ」結婚の約束をして外界に旅立つラキを見送るイルクを待ち受けていたのは過酷な運命と『時の悪魔』だった。
悪魔から時を駆けることが出来るという『時の砂』を受け取ったイルクの決断は……。
『時の悪魔』によって運命の岐路に立たされた3組の男女が織りなす、「時を超える」新本格ファンタジー。

HJ文庫大賞の大賞受賞作だったんですね…最近はあらすじどころか帯のコメントすらろくに読まずに手を取るからなあ。

時を駆けることができる『時の砂』と、それを授ける『時の悪魔』を軸に据え、三つの物語が交錯する。それぞれの物語が、それぞれ取り戻した人のために時を遡り、再び大切な人と出会っていく。三つの物語を通して、本当に大切な想い、そして『時の悪魔』とは一体何かを知ることになる。

大賞作品だけあって文体が崩れず、読みにくさを一切感じることはなかった。同じ登場人物が出てくるものの、時代の違う三つの物語で構成されているだけに、それを心配したんだけど。まあ杞憂でした、と。
しかし物語そのものに大きな波がなく、文体とは別に、飽きがきてしまうのが課題かなあ。淡々と語られていく物語だから、とても地味なんだよね。言った通り読みにくさはないが、物語を短く切っていくせいか、盛り上がる場面を作りにくいのかねえ。と