飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「女の子は優しくて可愛いものだと考えていた時期が俺にもありました」感想

女の子は優しくて可愛いものだと考えていた時期が俺にもありました (電撃文庫)

〈あらすじ〉
99%の男性が死滅した世界。希少な男子・久我原湊は、4年間隔離された生活を送っていたが、晴れて男女共学の高校へ編入することに。美少女だらけ・女子率99%という学校で、優しい女の子たちとのハーレム生活を夢見る湊だったが、女の子たちは強くなりすぎていた(物理的に)。美少女……でも異能持ち、美少女……でも超肉食系、美少女……でも妹!?男の妄想を叶えてぶち壊す、波乱だらけの学園ラブコメ!

はい油断しておりました大変面白かったです。いや〜読んでて思わずニヤニヤしてしまうラブコメは、心を穏やかにしてくれるねえ。女の子=ヒロインたちの使い方も上手かったし、これは良ラブコメ!

謎のウィルスによってほとんどの男性が死滅し、人口の99%を女性が占める世界。生き残った男性たちはシェルターに隔離・保護され、四年の歳月を送ることになる。そしてようやく特効薬が開発、外界に出ることになった男性の中に、主人公・久我原湊はいた。人類のほとんどが女性、本来ならモテないはずの自分も、可愛い女の子にチヤホヤされるに違いない。そんな願いを抱えて登校した高校で待っていたのは、勿論女の子たち…その中には幼馴染の千湖と、義妹「だった」有栖がいた。再会を喜ぶ湊と千湖であったが、有栖だけは何処かぎこちない態度で接してくる。そのことに違和感を覚えながらも、謎のウィルスの効果によって強化された女の子たちが、数少ない男を我がモノにしようと牙を剥いてくるのであった。

世界の大半が女性ならば、こんな俺でもモテるに違いない!その考えは間違っていなかったよ、湊くん。でもね、この世界の女の子は…君が思っているほどか弱い存在なんかじゃないんだ…(遠い目)
ウィルスによってほとんどの男性を「殺してしまった」世界にしては奇妙なほど明るい。そしてそのことに対して、少なくとも僕は何の違和感も持たなかった。単なる設定のための装置なんです。大量殺戮は見逃して下さい。

こんな世界になると、男性は貴重な生き物になってしまう。技術の発展によって男性同士、女性同士でも子供が産める世界観らしいのだが、それでも人は男女の営みを求める。個人的には「女子同士でも子供が産める」をもっとクローズアップして欲しいが、そっちを突き詰めてくと別の話になっちゃうからね…(震え声)
四年間。男のいなかった世界にポンっと配置された男性こと湊。希少な恋愛対象を放置する女性たちではなく…またウィルスの影響によって、身体能力が飛躍的に伸び、異能まで手に入れた女性たちは、学園のルールに則って、湊には分からないように異能を駆使し、毒牙にかけようとする様が非常に笑える。

その湊を異能で守りつつ、自分の方へと手繰り寄せようとするのが、かつて義兄妹の関係にあり、今は完全な他人となった有栖だ。目の前にいる湊は「お兄ちゃん」ではなく、「ひとりの男性」…その芽生えが、周囲の女子たちに危機感を与え、様々なトラブルを呼び込み、実に美味なラブコメを展開してくれる。また湊も、四年間女性から離れていたことによって、義妹だったはずの有栖を始め、ホイホイ女性陣も術中にハマっていくのは…まあ仕方のないことかな。

女の子たちの手のひらの上でコロコロ転がる湊であったが、それでも男、やる時はやる。言う時は、言う!恋愛積極的になってきた有栖を非難から守るため、吠える姿は男らしかったかと思います。しかし結局は手のひらコロコロされてたことになるので、やっぱ女の子には勝てませんな(笑)
有栖ルートのまま終わりを迎えてはラブコメ終了となるので、この展開はシリーズ化するには必要な流れ。ただ有栖可哀相だなあ、これ。次回はシリアス分よりも、コメディ要素もっと強くしてくれると嬉しいなあ。