飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「ラストセイバー 3 叡智の花嫁」感想

ラストセイバー (3) 叡智の花嫁 (電撃文庫)

〈あらすじ〉
西暦2140年――。史上最悪の敵「天使」の容赦ない猛威によって、人類が絶滅寸前になっている世界。
2015年からタイムスリップした名薙は、騎士候補生として重要な任務につく。それは、城塞都市・京都の女王に即位する少女の護衛。何事もなく進むかに見えた戴冠式だったが、強敵の襲撃にパニックが巻き起こるのだった……。
新次元異能バトル、ついに最高潮へ――!!

好きな物語だっただけに、ここ幕を降ろすことになるのは惜しい想いがある。伏線回収が急ぎ足になってしまったけど、物語を消化して頂いたのは救い…なのかな。

友人の死を経験し、「決意」と「覚悟」を強める中、京都入りした名霧たちは僅かばかりの穏やかな時間を過ごすと、今度は『お姫様』の護衛任務を務めることになる。女王に即位するとは思えない破天荒な姿を名霧に見せる城塞都市『京都』の姫エリザであったが、そんな彼女を『天使の王』プロアテルが狙う。強敵と対峙することになる名霧は、プロアテルの目的がエリザだけではなく『叡智の花嫁』と呼ばれるアニカもまた狙われていることを知り、決して逃れられない戦いに自ら進んで挑むことになる。

最初の頃の単なる「高校生」に過ぎなかった名霧は何処に言ってしまったのか…勿論、寂しさから言っているのではない。まるで別人のように急成長した名霧に戸惑いを覚えながらも、その頼もしさに勇気付られる。本来ならば、名霧の決意・覚悟は『天使』たちを段階ごとに撃退しながら積み上げていくものだったのだろうけど、そこを丁寧に描き出す時間がなくなってしまったのは、やはり惜しいかな。

同時に名霧とアニカと真無の関係を、伏線の回収上、名霧とアニカの二人に絞って書いていかなくてはならなくったのも残念。もっとこの三人の関係を見守って行きたかったから。後半の真無の活躍の無さは泣ける…でも仕方ないよね。プロアテルの正体披露からの怒涛の伏線回収…説明もまた急くのは仕方なかったか。

不完全とはいえ一応の完結を見せて、それでも「物語の見せ方」の上手い作家であることは良く分かった。次回作も期待しています。