飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「ヴァリアブル・アクセル」感想

ヴァリアブル・アクセル (GA文庫)

〈あらすじ〉
《最弱万能の班長》と《強すぎる新人》が出会う時
可能性が加速していく!!
「わたし、強くなりたいんです!」
剣と能力で戦う新時代の治安維持機構《剣警》。
その訓練校・紫練学園の落ちこぼれ弱小チームに、
やがて伝説となる《二人一組/ツーマンセル》が生まれた。
少年は白峰和久。
異質なる力を秘めた、強すぎる新人。
少女は皆瀬川咲良。
未来を見通す力を持つも「万能だが最弱」と称される頼りない班長。
誰よりも強くありたいと願いながら、自分の力を引き出しきれずにいた咲良は、
和久との出会いをきっかけに《本当の能力》に覚醒めていく――。
いいぜ、導いてやる。
俺がお前を最強の領域へ!!
描いた未来へ加速する無限超越の学園バトル、開幕!
――さぁ、お前の未来を使いこなせ!!

四季童子さんの双剣を構える美少女。手に取らない理由がない。内容の方は「王道の異能バトルモノ」であり、設定に特筆すべき点はないが、「在り来たりの異能バトルモノ」で終わらず飽きさせない展開にしているのは上手いと思う。

異能犯罪を取り締まる異能者で組織された『剣警』…その育成学校に転校することになった主人公・白峰和久は謎の爆発事件に巻き込まれ、その最中に皆瀬川咲良と出会う。同じ『剣警』訓練生の咲良は『未来視』という最強の異能を持っているのだが、上手く才能を活かせない劣等生であり、また班員皆無の班長でもある。そんな第九班班長の咲良に実力を見初めら勧誘された和久は流れのまま班入り。特殊な部類の自分の異能を活かし、咲良に訓練をつけることになる…そして咲良は、急激に成長していく。

感情表現の希薄で冷静な和久と、コロコロ表現を変えながら喋りまくる咲良のコンビは見ていると、咲良がご主人様にじゃれつくペットのようで、何だか愛おしくなってくる。能力をイマイチ上手く発揮出来ない咲良に対して、相手の力をフルに活かす『コピー能力』を持つ和久は、訓練をつけてくれる者としてはこれ以上の人材はいないだろう。有能ゆえに他の班からも誘いがくるが、それを断り、咲良の真の才能を見定めようと訓練を続ける。

物語を通して起こる謎の爆発事件。能力者狙っていると思われるこの事件が、全く関係ないはずの和久と咲良の過去と結びつき、その背後にいる因縁の相手を炙り出していく。活躍の場があまりなかった幼馴染の小夜、異能犬の黒犬もキャラクターとして面白く、特に小夜はこれから色んな意味で波乱をもたらしそうではあるが。