飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「異能バトルは日常系のなかで 4」感想

異能バトルは日常系のなかで 4 (GA文庫)

〈あらすじ〉
『恋バナ』が覚醒する――!!
《黒焔》VS《始原》。
文芸部『空白の半年間』が遂に明かされる!
「三角巾で顔隠すのかっけー!!」
本物の異能を持つ俺らは、部室の掃除だって神級能力の無駄遣い!
「自作RPGのテストをして下さい」
女子四人がゲームで俺に挑戦!?
「そういえばジューくん、前に彩弓さんと戦ったじゃん」
「懐かしいわね。二人のマジ喧嘩」
それは去年の秋。俺と彩弓さんがガチでぶつかった、正真正銘、初めての異能バトル。
文芸部『空白の半年間』の真相がいま明らかに!!
そして、鳩子から灯代へ放たれた取り消し不能な『恋バナ』が、
文芸部の恋愛模様を覚醒段階へ導く――
文芸部エピソードゼロから、予測不能な急展開を見せる第4弾!!

四人のヒロインの中で最後になった彩弓。察しの良くない僕でも分かるけれど、一番最後に当番が回ってくるヒロインは不人気なのかなあ、と思うし、実際一歩引いた位置から部員を見ている彩弓は物語への関わりが比較的希薄になる。
しかし…まさかその「不人気」に対して突っ込んで物語を進めて行くとは。虚をつかれた感じだ。

厨ニ病全開の寿来を弄ぶ構図はいつものこと。今でこそ平穏な文芸部の風景であるが、過去には寿来と彩弓の対立…本気の異能バトルがあった。これまでミステリアスな彩弓の背景はほとんど語られてこなかった。かつては「生徒会長」候補とまで言われていた彩弓が、何故今も寿来たちと一緒に文芸部をやっているのか。その謎を紐解く時、新たな「争い」の幕が切って落とされる。

寿来の心を射止める厨ニ言語を理解出来てしまう自分が残念すぎて挫けそう。まあこの感覚を理解出来ない人は、そもそもこの本を手に取ってここまで読み続けないと思うが…褒めてるんですよ?

文芸部四ヒロイン最後の彩弓ということで、これで当番回は終わり、ある意味これからが本番と言える構成になっている。アホなことばかり言っている寿来に心惹かれる彩弓。しかし彼女だけではなく、灯代、鳩子、千冬にしても、寿来への想いはある。その想いをいつまでも隠していては他の女の子たちに先をいかれてしまうのではないか?
これまで平穏だったのは寿来との関係をヒロインたちがある意味「遠慮」していたから。この遠慮がなくなった時、タイトル通り本格的な異能バトルが始まってしまう可能性がある。

文芸部を取り巻く環境は変わっていくのか。このまま単なる「日常」を繰り返して行くのか。日常の変化に一番鈍感なのは、一番非日常を望んでいた寿来であるのは何という皮肉か。心が抜き身になった女の子たちは、世界を滅ぼす力を持っている。さて、どう展開していくのかなあ。