飼い犬にかまれ続けて

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「王子降臨」感想

王子降臨 (ガガガ文庫)

〈あらすじ〉
ときは戦国。空は哭き、地は痩せ、人心は乱れていた。この世は、まさに地獄であった。だから、民らは、まだ知らぬ。流星と共に舞いおりし、美しき「王子」の存在を。母星の姫を捜すため、この星にきた王子のことを! 光の国からやってきた、麗しき王子の輝きを!! そして、王子と少年・鳶丸の出会いが戦乱の世を変えて行く……。究極の美は、人々の心の光となって、この世を愛で埋め尽くす。美しすぎる時代劇、ここに降臨!!
第7回小学館ライトノベル大賞・優秀賞受賞作!!

今月のガガガ文庫新人賞作品はどうしちまったんだ…!?
『人形遣い』に引き続き、一部の方が非常に喜びそうな趣向が含まれています。面白い内容だっただけに、その趣向がシュールに映り、思わず笑ってしまった。

時は戦国時代。国は荒れ、人々は重い税と飢饉に苦しみ、夢も希望も抱けない。そんな世界に生まれた少年・鳶丸は賊に襲われ今まさに命の危機に瀕していた。その鳶丸を救ったのは、突如現れた「王子様」だった!「白馬に乗った王子様」と表現するに相応しい容姿の王子は、戦国時代にはあまりにも不釣合いであったが、鳶丸を初めとする老若男女あらゆる人を魅了し、ささくれ立った心を癒して熱い想いを奮い立たせてくれる。王子を中心に集まった多くの弾圧されてきた人々が、圧政に対して反旗を翻す。

なんという存在感のミスマッチ!
圧倒的なカリスマを備えた王子様。どうやらこの星とは違う場所からやってきたらしい王子は、出会う人々を次々魅了しては仲間に引き込んでいく。純粋な心を持ち、この世界の現状を真剣な眼差しで憂いている王子は、確かに人の上に立つに相応しい人物に思える。まさに老若男女。場合によっては今殺し合っていた者でさえも包み込む暖かさを備えた王子は、たったひとりでも悪を討とうとする男気の持ち主でもある。しかしこの男気をぶつけられると、「男」ですら王子に本気で惚れ込んでしまうのはどうなんだろうと思わなくもない。少年・鳶丸のヒロイン力は、王子様あってこそ。完全に恋する乙女です。

物語そのものは悪を成敗しようと突き進む展開で、王道の中の王道。それなのに奇妙なほど新鮮な想いに包まれるのは、やはり王子のカリスマ性があるからか。正義を成そうとする王子の前に立ちはだかる邪悪な者たち…中には王子と同じ違う星の者もいて、その牙を王子に向ける。絶体絶命といってもいい状況を覆し、戦いに勝利する姿は英雄のそれだ。
最後まで読んでスカッとするほど真っ直ぐな物語だったと感じた。まるで上等なお芝居を観たかのように…。