飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「 三千世界の魔王サマ」感想

三千世界の魔王サマ (MF文庫J)

〈あらすじ〉
三千世界を総べる大魔王・終焉の創手。一年前、あるブログにそう名乗る魔王がいた。だが、全ては中学時代の俺の妄想設定。そんな痛い俺に友達一人できるわけもなく、中学時代は暗黒だった。高校からは中二病は卒業してラブコメみたいな学園生活――いや高望みしすぎか、せめてクラスで"浮かない"と決心した俺の前に、「あの、そのっ、どうかわらわを……――弟子に、していただきたいのじゃ! 三千世界の魔王様!」がんっ「はうわっ」ブログを信じてしまった魔王の娘・ルリファーが魔界からやってきて……!? 普通の高校生&はわはわ美少女のハートフルラブコメ開幕……したりしないかな? ――というかこの娘、おでこぶつけたけど大丈夫?

『中二病」を題材にした物語増えたよねえ。『中二病』の意味をキチンと説明しなくても読者が理解する程度には浸透している言葉、あるいは感覚になった。

かつて『三千世界を統べる大魔王』としてブログを運営し、痛々しい中学時代を過ごした主人公の三道千秋。それも昔の話。過去の黒歴史を全て消し、知り合いのいない高校に進学した三道が出会ったのは、『魔王の娘』を名乗り、魔界からやってきたという美少女ルリファー。『三千世界の魔王』を尊敬するルリファーは三道に弟子入りを志願する。しかし中二病だったことを周囲に知られたくない三道は、ルリファーと距離を置きたいのだが彼女の奇妙な行動力がそれを許さず…。

三道に弟子入りしようと息巻き、奇妙な発言をしては周囲の目を引くルリファーに対して、中二病だったことがバレたくない三道は必死に言い訳をしながら逃げ回りながらも、結局はルリファーの真っ直ぐな想いに応え出す、というのが大筋の流れ。何処か頑張って『中二病』をやっているように見える天然のルリファーは、実は『中二病』などではなく本当に魔王の娘だったりして、この辺りの設定がラストの展開の伏線になる。

本物の魔王の娘にも認められる魔王っぷりを披露し、ネットの海に君臨していた三道。どんだけ痛々しい奴だったんだ…というのは読み進めて行けば分かるほど、こいつ痛い。実の妹も見損なうはずである。

次第にルリファーの気持ちを無視できなくなり、周囲も気にせず彼女のために行動を始める三道。魔王の娘だろうが中二病少女だろうが、ルリファーが三道にとって可愛い存在であるのは変わりない。心境の変化が、三道を変えて行く。まあ変わった結果として、他の魔王の娘にも惚れられたのは良かったのかな…(良くない)