飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「フルスケール・サマー」感想

フルスケール・サマー (電撃文庫)

〈あらすじ〉
夏の始め。転入生の少年・慶介は席が隣になった少女に懐かれた。教科書や地図帳にミリタリーだったりガ○ダムだったりな落書きをしていたその変な子の名は、春日野鮎美。昼休み、彼女に案内された先には――なんと自衛隊が有する90式戦車が!! どう見てもホンモノのそれを、鮎美はなんと“プラモ”だと言う。すごいけど迷惑なこれらの作品たちのせいで生徒会から目を付けられた模型部を守るため、慶介は協力を求められるが――?

僕もこんな青春してみたかったです…安西先生…(決して戻らない過去に思いを馳せながら)

主人公の慶介は真面目すぎる性格ゆえ、これまで生徒会長を始め多くの役職を務めてきた高校生。しかし転校を機会にこれ以上責任ある肩書きを持たず、もっと気楽に学園生活を送ることを誓う…のだが、早々に慶介の経歴が知れ渡り、そして偶然隣の席になったちょっと不思議な趣味を持つ春日野鮎美が身を置く『模型部』に関わったことから、慶介の真っ直ぐすぎる性格が爆発することになる。

青春の素晴らしさを伝えてくれる作品。ひとつの想いを遂げるために、『原寸模型部』全員が一致団結し必死になって目標を達成しようとする様には目に汗が滲む。天然の気があるヒロインの、ガンダム好きに趣味が読者を笑わせてくれる小ネタの仕込み方が僕は好きです。大好きなことを存続させるために悪戦苦闘する描写が多く描かれていくのだが、もう少し短く纏めても良かったのかな、と個人的には思う。最後の生徒会と原寸模型部の存続をかけた駆け引きまでに至るまでが長い。もっと早く行き着いて欲しかった。
とはいえ大切な描写であるのは間違いないので、あくまでも個人的な意見です。