飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「放課後の魔法戦争(アフタースクール・ブラックアーツ) 2」感想

放課後の魔法戦争(アフタースクール・ブラックアーツ) (2) (電撃文庫)

〈あらすじ〉
 辛くも前回《魔法戦争(ブラックアーツ)》を生き抜いた三九郎たちの前に、美しい女性が現れた。名は蜜月蕩乃。先の戦争で共闘した呉葉の所属する工房《M・W(マーチラビット・ワークショップ)》の長だ。彼女は父・団慶亡き後の工房運営に支障をきたしていた三九郎へ協力するかわりに、子を作らせてほしい(!)という驚愕の交渉を持ちかける。果たして三九郎の判断は? 彼を慕うねねこと華夜は!? そしてそんな波乱の日常の裏では、悪しき《魔術師(メイジ)》たちの新たな陰謀が再び蠢き始め……!!

死が溢れかえる非日常の中でも、しっかり愛と恋を描き切っているのが凄いなあ、と思ってしまう。いや、死と隣り合わせだからこそ、人同士の愛が輝いて見えるのかもしれない。

『魔法戦争』を続け、勝利を手にする度に成長をする三九郎たち。とはいえ工房経営は火の車で、命の綱とも言えるクォーツを生み出す『コルドロン』はメンテナンス不良から動きが鈍い。しかも三九郎の父が改造している特別な『コルドロン』であるため直せる魔術師は極一部と知り、呉羽のツテを頼りに『マーチラビット・ワークショップ』の工房長・蜜月蕩乃に修復を依頼する。が、蕩乃が提示した報酬…「三九郎が蕩乃を妊娠させること」が三九郎と彼に恋する少女たちの心を揺るがすことになる。

この取引を「美味しい状況」と捉える男子は不誠実な人ですね。ぼぼぼぼ僕はそんなこと思ってないんだからっ!
蕩乃との契約をキッカケに物語は加速していく。どうにも悪役の印象が抜けない蕩乃のサドな行動ではあるが、意外と彼女はお節介焼きですよね。まあ魔術師なのでいつ切り捨てられるか分かったものではないけど。そんな彼女に利害があるとはいえ子種を求められれば抵抗もありますよ…ありますよね?(何故か疑問符)

三九郎想いを寄せるねねこと華夜。特に魔術の世界とは何ら関わりのないねねこの苦悩は大きい。普通の人間として暮らせる可能性を放棄して、三九郎の隣にいようとするねねこの「強さ」は彼女の危うさも浮き彫りにしているし、実際、今回命を落としかけるほどだった。その状況はますます強まるばかりだが、それでもねねこはめげない。華夜が三九郎争奪戦から一歩引いてしまうのも分かる絆が、そこにはあった。

三九郎が関わるもうひとつの絆。親友である雷火との死闘は今後、どんな状況を生み出すのか。ただ守るだけではねねこを工房の皆を守り通すことは難しい。三九郎は覚悟を決めて戦い続けるのか……。