飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「対魔導学園35試験小隊 5.百鬼の王 」感想

対魔導学園35試験小隊    5.百鬼の王 (富士見ファンタジア文庫)

〈あらすじ〉
35試験小隊を率いるタケルには、キセキという名の妹がいる。周囲に災いをもたらすため、SS級危険指定の存在として幽閉されているはずのキセキが、ある日突然タケルの前に現れて――。

ようやく主人公のタケルが表紙を飾る。しかしタケルと共にいるのは、雑魚小隊のメンバーではない。彼女の呼び込む問題が、雑魚小隊の絆を試す。

次々と実績を上げて行く『第35試験小隊』そこにはもうかつての『雑魚小隊』の面影はない。仲間との信頼関係が日に日に高まる中、タケルはある秘密を打ち明けるかどうか悩んでいた。SS級危険指定として幽閉されている双子の妹・キセキ。異端の中でも特異な存在であるキセキは、タケルの故郷で大量殺人を引き起こした危険人物。そのことを仲間に話そうと決意したその日、脱獄してきたキセキが愛しい兄の元にやってきたことから運命の歯車が軋み出す。

これまで共に死線を潜り抜けた本当の仲間だからこそ、彼女たちの信頼を裏切りたくない。それでも過去、自分が傷つけてしまった愛する妹のために辛い選択をタケルは強いられる。

みんながタケルを信頼して、タケルはみんなを信頼して。これだけの絆があるのに、打ち砕かなくてはならなくなってしまったのは一体誰のせいなのか? 呪われた血統ゆえに重い十字架を背負うことになったキセキのせいでも、そのために弱った彼女の心のせいでもない。タケルがそのことに負い目を感じたせいでもない。タケルでもキセキでも、あるいは仲間たちでさえもどうすることの出来ない力。それがタケルたちの前に姿を現した。ただ、それだけ。

大切な絆を断ち切ってでも進もうとした道は、意外な方向へと向かっていく。新たな地でタケルと、そして彼について行くことに決めたマリは何を見るのか? 残された桜花たちは何を思うのか? 気になることばかりで次巻が楽しみだ。