飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「時渡りの〈紅女神騎士団〉 1」感想

時渡りの〈紅女神騎士団〉(スカーレット・ナイツ) 1 (オーバーラップ文庫)

〈あらすじ〉
「どうか私たちの国を、人々を救ってください」
ヴァンデール帝国最強を誇る紅女神騎士団〈スカーレット・ナイツ〉は仕えていた帝国上層部の陰謀により、過去の世界へと飛ばされてしまう。
騎士団の切り込み隊長であるキルサスと若き少女団長ルーシアは、転移先でルーシアの先祖である聖法国セイムローザの姫君セレネと出会い、その優しさに心を動かされて歴史に介入することを決断する。
戦乱が巻き起こる直前の時代に置いて、未来から来た騎士団どのような戦いを繰り広げていくのか、知るものはまだいなかった。
壮大なスケールのファンタジー&タイムリープ戦記がいま幕を開ける!

曲がったところのない、真っ直ぐな物語だった。面白い!
特に「悪いことは悪い!」と言える熱血キャラが多くて、読んでいてスカッとする。

大多数の兵士が平民である『紅女神騎士団』はヴァンデール帝国でも最強と呼ばれる騎士団。貴族で構成される正規軍よりも活躍が目覚しく、また熱い心を持つ者も多く国民に慕われている。
『紅女神騎士団』第一隊長キルサスと、団長の娘であるルーシアは幼馴染であり、共に切磋琢磨しながら騎士団を家族のように思いながら戦っていた。しかし『紅女神騎士団』を疎む貴族たちの策略によって、キルサスたちは百年前の世界に飛ばされてしまう。戸惑うキルサスたちであったが、偶然襲撃から助け出した少女セレネとの出会いが転機となる。セレネは百年後…キルサスたちの世界では、ヴァンデール帝国の手によって既に滅びている聖法国セイムローズーザのお姫様。しかもその容姿はルーシアにそっくり。侵攻するヴァンデールから国を救って欲しい、というセレネの真摯な願いを受けて『紅女神騎士団』はセイムローザに加勢することを決意する。

過去の世界に飛ばされた最強の騎士団。彼等は力だけでなくハートも強い。兵士の多くが平民出とあって、選民思想の強いヴァンデール帝国の貴族からは妬まれている。そんな状況にキルサスやルーシアといった面々は不満を持ち、腐った体制に苛立ちを募らせていた。そういった下地がある上、更に裏切り行為にあえば母国を見限るには十分すぎる理由だろう。

素直な気持ちには真っ直ぐ向き合いたい、清々しい心を持つキルサスたちは、国を救いたいセレネの純粋な想いに応える。お姫様…今までキルサスたちが触れてきた貴族たちとは違い、他人の視線に立ち他人を想いやることのできるセレネを救いたいと思うのは彼等の性格を考えると当然のこと。またルーシアとセレネの顔立ちが瓜二つのところから、この二人の繋がり…ルーシアの出自が何か大きな意味を持って物語に関わってくるだろう。

まだ一巻ということで、騎士団を支えるキャラクターたちと世界観の紹介を兼ねた作りになっている。巨大な敵との対決はこれから登場する感じかな。暗い過去を持つ騎士団員たちの心は晴れていくのか。それもまたひとつ、注目したいところだ。