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飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「黒猫の水曜日 3 Nothing is what it seems」感想

黒猫の水曜日 3 Nothing is what it seems (黒猫の水曜日シリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)

〈あらすじ〉
隠匿された大量破壊兵器を捜索せよ--
武器商人の《黒猫》こと十河正臣の護衛を務める篠原禊。類稀な戦闘力を誇る彼女だが、とある事件を契機に自らの記憶が捏造されたものと聞かされ、その心は揺れていた。そしてCIAから依頼された大量破壊兵器“TX”の捜索をめぐり、感情が抑えきれなくなった禊は、正臣と対立してしまう。《黒猫商会》の面々の間に不穏な空気が流れる中、彼らの前にかつて倒したはずの人間兵器、サーシャが現れて……。

あまりにもタイムリーすぎる今回のネタに苦笑いするしかない。大量破壊兵器とテロリスト。それだけに物語に没頭できた。この手に汗を握るアクションが堪らない。

米国が秘匿していた化学兵器。テロリストの手に落ちたその大量破壊兵器を見つけ出すこと。CIAから黒猫商会に持ち込まれた依頼であったが、正臣はこれを拒否する。しかしその理由を知った禊は正臣に対して疑念を抱き始める。更に禊のクラスに転校してきたのが、かつて激しい命のやり取りをしたサーシャ。テロリストの掃討に当たったサーシャの口からテロリストを手引きしたのが禊の育ての親マイケルである可能性が示唆される。正臣のこと、マイケルのことで心を揺れ動かす禊は黒猫商会かた一時離れ、独自の行動を取るのだが……。

人は他人のことを知っているように見えて、その実、何も知らない。知っていると錯覚しているに過ぎない。人間誰しも秘密を持っているものだ。

素直な性格であるがゆえ、人の言葉に振り回されることの多い禊。また素直なために人を信頼しすぎてしまうのは美点であると同時に弱点でもある。真の目的を口にしない正臣は「敵対」していないだけで、心から信頼できる「味方」ではない。得体のしれない何かが、正臣にはある。それなのに正臣を信頼してしまう禊は、子供なのだろう。しかし禊を突き動かす純な想いは否定したくない。

これまで見えていなかったものが見えてきて、疑心暗鬼に陥る禊はこれから再開するであろう正臣とマイケルに、どう対峙するのか。どちらにしても穏便にはならないよなあ。投入されたサーシャの無双と無邪気さが、少しでも禊の心を救ってくれれば良い。