飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

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「俺の教室にハルヒはいない」感想

俺の教室にハルヒはいない (角川スニーカー文庫)

〈あらすじ〉
流され体質の裕の席は「涼宮ハルヒ」のキョンと同じ位置。しかしハルヒが座るはずの席はずっと空席のまま。ある日声優への道を歩み始めた幼馴染カスガを送った裕は、偶然出会ったアニメ脚本家マコトに食事に誘われ?

みんな落ち着いて!
タイトルだけで作品を判断しないで
叩いちゃ駄目よ!
と、言いたくなるほどタイトルだけで色々言われてしまうこの作品。結論から言うと、この青春劇は面白かった。

高校生ユウの後ろの席は入学して二ヶ月が立つのに空いたまま。友人はその席をライトノベルの中では非常に有名な『涼宮ハルヒの憂鬱』に登場するハルヒが座る席なんだ、と冗談なのか本気なのか分からない感じでいう。ライトノベルどころかアニメも見ない「学園モノアレルギー」のユウには良く分からない話題。最近また話すようになった幼馴染のカスガは声優を目指しているらしく、そういった話題に強い。そして偶然出会ったアニメ脚本家に気に入られたユウは、流されるまま交友関係を広げていき、いつの間にか業界人に囲まれることになる。こうしてユウの日常は緩やかに変化し、進んでいく。

アニメ等が大好きな友人の口から飛び出す『涼宮ハルヒ』という名前。非日常を象徴する装置として、その名前が挙がるのだが現時点ではそれ以上の意味を持っていない。正直なところ、タイトルほど内容にハルヒは関係ないように感じる…ハルヒとの関係性を抜き取ると、よく出来た高校生の青春劇なんだよな。もうひとつの効果としては、ハルヒの名前を出すことで「アニメ等に関係ある題材」を扱うのにこれといった違和感を覚えないこと。ユウ本人の興味を置き去りに、何故かアニメ関係者の集まりに呼び出されるようになる。一度興味を持ち出すと顔を輝かせるユウの吸収力は、与えるオタク側はやっていて確かに気分が良い。なんとなく、「業界ゴロ」というのはこうやって生まれていくんだな、というのをユウから感じる。登場するアニメ作品も実際に存在するものばかりで、その作品を知っている僕は非常に読んでいて楽しかった。

この作品のキーとなる人物は、ユウを板挟みにする二人のヒロイン。声優を目指す幼馴染のカスガと、アニメ関係者経由で知り合うことになる人気アイドル声優のアスカ。同じ道を生きながら全く違う立場の二人。この二人の生き方がユウを大きく振り回していくことになるだろう。

ユウの教室にはハルヒはいない。
しかし日常を非日常に引っくり返す青春は、後ろの席にやってくる。