飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「I.R:I.S1 Indirect Ruler:Infinite Seizor」感想

I.R:I.S1 Indirect Ruler:Infinite Seizor (講談社ラノベ文庫)

〈あらすじ〉
超能力者が支配する世界。力に目覚めた若者たちが集められる島がある。
黒鋼和人は、そんな島の中にある桜ヶ丘学園に通う超能力者の一人だ。
和人の能力は平凡以下、超能力の源である<エーテル>の影響範囲も
2.7センチしかない落ちこぼれだった。
そんなある日、和人は突然学内序列1位で、孤高の存在である同級生、
皇理緒に呼び出される。その理由は 和人の勧誘!?
「貴方をチームに加えたいの」という理緒に戸惑いながらも、チームとして訓練を始める二人。
理緒の目的を訝しむ和人だが、その理由は、本人ですら気づいていない、
和人の秘められた力で 。
最弱と最強が出会い、物語が動き出す 学園バトルファンタジー!

澄守彩×シロウの『魔法使いなら味噌を喰え!』コンビが引き続き描き出す学園異能バトル。前回は「魔法使い」、今回は「超能力者」と正反対の異能使いを題材にしている。

通常兵器を無効化し、世界に在るエーテルを使い異能を振るう『超能力者』が世界を支配している。超能力を持つ子供たちを集め、育成することを目的とした島。その島に六つある学校のひとつ、桜ヶ丘学園に通う和人は能力最底辺のおちこぼれ。唯一出来ることと言えば超能力に対して異常な防御力くらい。それも自分から2.7センチの距離にしか効果がなく、更に物理攻撃は透過するという中途半端な力。盾か囮にしか使えないため学内で組むチームを転々することになった和人は、序列1位の美少女・理緒との対峙をキッカケに、彼女とたった二人のチームを組むことになるのだが……。

世界観と能力の設定を捉えるのに少し苦労したけれど、キャラクターの魅力に引っ張られる内、把握できるようになる。
劣等生の主人公と成績優秀なヒロインという、お約束の組み合わせ。超能力者として奇妙な能力を持つ和人に興味を抱いた理緒が共にチームを組むことになるのだが、そこには疑問がある。たったひとりで数十人の超能力者を撃退できる理緒に、防御力が異常とはいえ和人の存在は有用なのか?

この疑問の真の答えを追求することが、物語を読み解く鍵になる。コミュニケーション不全の理緒と、唯一会話のできる和人、おちこぼれでありながらめげない彼に惹かれて集まり出す春姫たち。交流を深めながら絆を繋いでいく和人たちは、巨大な危機に直面することになる。圧倒的な力を前に和人は、理緒は、そして仲間たちは戦っていくのかを見て欲しい。