飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「俺と彼女が下僕で奴隷で主従契約」感想

俺と彼女が下僕で奴隷で主従契約 (富士見ファンタジア文庫)

〈あらすじ〉
魔力を武器に錬成する契約獣を使役し、大陸中にはびこる魔獣に対抗する人類最大の戦力――魔女騎士。
魔女騎士として高い適性を持つ貴族の子女のみが通うディアスペル王立学院。その一室にハヤテは突然、召喚された。
彼を召喚した少女シェリーは、どこからどう見ても人間のハヤテに対し契約獣としての契約を迫り、衝撃的なセリフを囁く。
「もし私のために戦う下僕になるのなら――契約の対価として、私があなたの奴隷になってもいいわよ?」
戸惑うハヤテだが、なし崩し的にシェリーの部屋で一緒に暮らす学園生活が始まり!?サーヴァントバトルファンタジー!!

なめこ印さんが富士見ファンタジア文庫に登場…だと…!?
期待している作家さんの活躍の場が広がるのは嬉しいです。HJ文庫の『俺がヒロインを助けすぎて世界がリトル黙示録』でも感じたエンターテイメント小説としての面白さを十分に伝えてくれる作品だ。

ハヤテが目を覚ますと、そこは見知らぬ世界だった。いや、世界どころか、自分自身のことも分からない。そんな記憶喪失のハヤテの前にいたのは、ひとりの美しい少女。世界を蹂躙する魔獣を狩る『魔女騎士』…その見習いである没落貴族の少女シェリーの『契約獣』として召喚されたハヤテは、彼女に下僕になれ、と言われる。そして同時にシェリーの放った、その対価として私はあなたの奴隷になる、という言葉がハヤテを混乱させる。

俺が彼女の下僕で、彼女が俺の奴隷!?
と、いう聞いただけでは意味の分からない言葉。それもそのはず、この言葉ありきで物語を作ったのだから。しかしそれでしっかり物語…世界を作ってしまうのが凄い。

貴族としての名誉を穢してしまった母の汚名を注ぐため、『魔女騎士』となり大陸ナンバーワンを目指そうというシェリー。そのシェリーが呼び出すことになるハヤテは、何処からどう見ても普通の少年。しかもこの世界は女尊男卑とあって、人間の男にしか見えないハヤテを召喚したシェリーをバカにする。クールなんだけど、男のハヤテに対して大胆な行動に出るシェリーの根幹にある考えは「自分の目的のためにハヤテを巻き込むのだから、それに報いなくてはならない」というもの。フェアーな考えというか、極端な考えというか。

そんなハヤテとシェリー。主であると同時に、下僕であり奴隷である二人。何処か想いが行き違っていた二人の気持ちがカチリと重なりあった時、想像超える力を行使し、対する敵を薙ぎ払う爽快感。下に見られていた人間が周囲を見返す痛快さはやはり気持ちが良い。主人公が「イイ男」を演じれば、可愛いヒロインたちが寄ってくる。シェリーを始め、よう太さんイラストによって魅力を増加したヒロインたちに言い寄られ、ハヤテは無事(?)でいられるのか…というのもひとつの見所なのかな(笑)