飼い犬にかまれ続けて

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「パナティーア異譚1 英雄のパンドラ」感想

パナティーア異譚1 英雄のパンドラ (ファミ通文庫)

〈あらすじ〉
小学5年の夏休み、相川理人は世界を救った。聖剣を駆使して魔神を封印し、英雄と讃えられたあの日から早6年。元の世界に戻り、平穏な高校生活を送っていた理人は、再び彼の地に強制召喚されてしまう。魔神の再臨を防ぐため、最強の防具と力を持ったまま2周目の冒険に旅立つ理人だったが、6年の時間を経た仲間と世界は、彼の想像とは大きく違っていて――「お前もそうだよ、イシュアン。いつから女になったんだ?」

読み終わってまず思ったのは「やられた!」ということ。それからジワジワと読んで良かったという素直な想いが沸き起こってくる。面白かった。

小学五年生の少年が異世界に召喚され、『勇者』となり、仲間たちと共に魔神を討ち果たし、封印することに成功した。あれから六年が経ち、少年…17歳になった相川理人は、魔神を封印した後、現代世界に戻り平穏な日常を送っていた。異世界での命をかけた大冒険と、何も起きない平和な日々との違和感に苛まれながら。しかし運命は再び動き出す。六年前と同じように召喚された理人は、封印が解けようとする魔神をもう一度討つための旅に出ることになる。その冒険の旅に同行するのは、かつて共に戦った同じ年齢の『盗賊』イシュアン。時が経ち、男だと思っていたイシュアンは実は『女』であることが分かり、理人は動揺しながらも冒険を続ける。

『異世界召喚モノ』ではあるものの、一度世界を救い、現代に戻って生活していたが、再び異世界に危機が訪れたため、再度召喚される、という展開を冒頭から上手く描いている。異世界での濃密な日々が影響し、現代世界の温い生活を何処か他人事のように見ている理人。彼の居るべき場所は何処なのか…英雄として名の知れ渡るあの世界こそが、理人の求める世界なのだろう。

そう感じるのは理人が再び異世界に召喚された時から、元の世界への未練を全くと言っていいほど言わないこと。呼び出されてから、自分のするべきことを飲み込むまでが早い。「強くてニューゲーム」と言っていいのか、どうか。既に一度世界を救っている理人は、冒険の旅に出る。しかし六年が経ち、かつての英雄たちは昔と同じようには生活していない。それぞれしがらみを抱えている。変わってしまった仲間たちに思いを馳せる理人の心が切ない。

たったひとり、イシュアンだけが理人の旅に同行する。彼女こそがこの物語の鍵を握る人物。そして心地よい「騙し討ち」を受けることになる。「あらすじ」「イラスト」…先入観を持った上で、理人の視点で描かれる物語を追いかけると、どうやっても騙されるんだよ!(笑)
しかし騙された先に待っているラスト…着地点が非常に良かった。これは続きが読みたいが…どういう続きになるんだろう、これは。