飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

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「つくも神は青春をもてなさんと欲す」感想

つくも神は青春をもてなさんと欲す (スーパーダッシュ文庫)

〈あらすじ〉
第12回スーパーダッシュ小説新人賞優秀賞受賞作!
物の修理が得意な骨董品屋生まれの高校生・物部惣一のもとへ、ある日祖父から茶釜が届く。その正体は付喪神という道具が精霊と化したものだった。幼い少女の容姿をしたその付喪神に「つくも」と名付けた惣一は、彼女が持つ異能の存在を知る。そんな中、惣一はクラスメイトの月野原鞘音が「他人に不幸を撒く」と言われ、心を閉ざしていることを知る。鞘音をなんとか救いたいと思う惣一に、つくもがあることを指摘するのだが…!? 道具を愛する少年と小さなつくも神が贈る心の“おもてなし”学園ファンタジー!

和む。和むなあ〜。
派手な展開があった訳ではない。でも引き込まれるように読んでしまう。そんな穏やかな魅力のある新人賞作品でした。

物部惣一は骨董品屋を営む祖父に育てられたことから道具に愛着を持ち、修理するのが得意な高校生。気持ちが真っ直ぐな惣一は、ナンパな男に難癖を付けられていたクラスメイト・月野原鞘音を助ける。近づく人を不幸にしてしまう、とオカルトのようなことを言う鞘音であったが、実際彼女に接近すると偶然では片付けられない不幸が惣一を襲い始める。他人に不幸が降りかかるを恐れ、他人を拒絶する鞘音を救いたいと思う惣一のもとにやってきた祖父からの届き物…骨董品の茶釜は付喪神で、しかも「お茶で心をもてなす」不思議な力まで持っていたことから、惣一はその力を使い、鞘音を助けようとする。

とても丁寧な作りだった、というのが読み終わっての印象。特に主人公の惣一を始め、付喪神のつくも、悪友の十日と、何処か普通とは違う個性を持つキャラクターたちが読者の心を和ませるように動き回る様は面白い。

鞘音の「呪い」を消し去ることから始まり、その問題に対して口ではあーだこーだ言いながらも真摯に向き合う惣一の姿勢には好感がもてる。またそんな惣一とコンビ(?)を組むつくものマイペースっぷり、善人(神?)っぷりはホッと息をつくほど可愛く、ギュッと抱きしめたくなる。派手な展開こそないけれど、全体を通して非常にまとまりのある物語で、作家としての力を感じる一冊に仕上がっていたと感じた。