飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「エロマンガ先生 妹と開かずの間」感想

エロマンガ先生 妹と開かずの間 (電撃文庫)

〈あらすじ〉
 高校生兼ラノベ作家の俺・和泉マサムネには、引きこもりの妹がいる。
 和泉紗霧。
 一年前に妹になったあいつは、まったく部屋から出てこない。今日も床をドンドンして、俺に食事を用意させやがる。
 こんな関係『兄妹』じゃないぜ。なんとか自発的に部屋から出てきてもらいたい。俺たちは二人きりの『家族』なんだから――。
 俺の相棒・担当イラストレーターの『エロマンガ先生』は、すっげーえろい絵を描く頼りになるヤツだ。会ったことないしたぶんキモオタだろうけど、いつも感謝してる!
 ……のだが、衝撃の事実が俺を襲う。
『エロマンガ先生』は、俺の妹だった! 一つ屋根の下でずっと引きこもっている可愛い妹が、あの、えっちなイラストを描いていた!? そして俺達兄妹の関係に、超売れっ子美少女作家のライバルも加わって、大変動が起こる! 新たなる兄妹ラブコメディ!

これは酷いタイトル(笑)
売れっ子作家の新作でなかったら手を出す人が減りそうだなあ。特に純真な購買層である中学生は恥ずかしくて書店のレジに持っていけないのでは…とか考えていたけど、いまどきの中学生はイロイロと乱れていると聞くので何の問題もないか!(漠然とした偏見、ダメ、ゼッタイ)

中学生の時に新人賞デビューし、高校生ライトノベル作家として活動する和泉政宗。鳴かず飛ばずの売上でようやくひとつシリーズ完結に漕ぎ着けた政宗は作家業に悩みながら、もうひとつ大きな悩みを抱えていた。一緒に住んでいる「血の繋がらない妹」紗霧の存在。一年前に妹になった紗霧は部屋に引きこもりってしまい、出会った日以来、会話をしていない。部屋の前に食事を届けては出てきてくれるようにお願いするメッセージ綴る毎日。しかしそんな型通りの日々は突然、終わりを迎える。デビュー以来、政宗の作品のイラストを担当しているイラストレーターのエロマンガ先生。とんでもないペンネームで活動しエッチなイラストを描きあげる彼…『彼女』の正体が紗霧であることを偶然知ってしまった政宗は、彼女を部屋から外に出すため、ある行動に出る。

作家とイラストレーター。
『ライトノベル』については色々な考えがあるけれど、ひとりの読者である僕としては、この両者は切っても切れない関係にあると思う。どっちが欠けても僕は『ライトノベル』の真の面白さを作品を通して味わうことはできない。

そんな作品とイラストレーターの「関係」に、「血の繋がらない兄妹」という設定を加えたラブコメディに仕上げている。今まで前に進まなかった兄弟関係を互いに手を取り合って一歩一歩進もうとする。テーマを据えて展開されるラブコメのこの読みやすさは前作もそうだけど、見事という他ないな、と感じる。

兄妹関係の他、「売れないラノベ作家」の産みの苦しみ…苦悩が描かれているが、コメディ要素豊富なため、本来は重苦しい話題のはずなのに明るく見えてしまう。しかし売れっ子作家の書く「売れないラノベ作家」はどこか皮肉めいていて、本当に実績のない作家が読むと色々な意味で発狂しそうに思えるのですが…(汗)