飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「正義の味方の味方の味方」感想

正義の味方の味方の味方 (電撃文庫)

正義の味方の味方の味方 (電撃文庫)

〈あらすじ〉
マンションの一室にこっそりと棲息する秘密結社。
ゼロウ・ファミリー──かわいらしい少女でありながら総帥を務める凛奈。
炊事、洗濯が目下の任務となっている怪人、橙也。総勢二名の弱小だった。
そんなファミリーが今日解体する。その後、学校に通うことになるらしい……正義の味方養成機関、白陽花学園に。
なぜに、正義の味方の学校に!? その裏には大いなる秘密があるとかないとか。

おバカな設定だったけれど、話はしっかりしていて楽しく読めた。
本来ならば『悪役』のはずの怪人の主人公が、最後には誰よりも「正義の味方」をやっていて熱い!

正義の味方と悪との戦争によって、悪が廃れた現代。
「職業:怪人」の橙也はかつては有名な悪の秘密結社だった『ゼロウ・ファミリー』の二人しかいない構成員のひとり。
もうひとり。総帥である凜奈は16歳の少女。魔導に関する知識の才能はあるが、戦闘力は皆無の可愛い女の子。
その凜奈の「解体命令」によって二人きりの結社に別れを告げ…なんと正義の味方に転職!
正義の味方を育成する教育機関『白陽花学園』に入学するが、トラブルに首を突っ込む凜奈のせいで橙也は苦労の連続。
正義を振りかざす者たちの中で、橙也は凜奈を守り通すことができるのか?

悪の結社の総帥と怪人。そう呼ぶには凜奈も橙也も人間味に溢れていて、とても温かい。
正義の味方は悪人がいないと『正義の味方』にはなれない。だから悪人は『正義の味方の味方』なんだ。
と、いうちょっと訳の分からない理屈を振り回す凜奈であるが、悪人らしからぬ明るい言動を見ていると思わず和んで何もかも許してしまう。
そんな凜奈を…大切な人を守るため苦労しっぱなしの橙也は『正義の味方の味方』の『味方』である。正義も悪も関係ない。凜奈を泣かせる奴は絶対に許さない!
伏線全開だった怪人モードを披露して、凜奈を泣かせた身勝手な「正義」を成敗してくれて読んでるコッチも気分が良くなる。しっかり盛り上げてくれたなあ。
しかし思ったよりも「怪人=化物」でなかったというか…良く考えたら「ランタン」ですもんね。そんな恐ろしい容貌にはならないか。