飼い犬にかまれ続けて

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「フールズフィスト 2」感想

フールズフィスト 2 (フールズフィストシリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)

フールズフィスト 2 (フールズフィストシリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)

〈あらすじ〉
幸楽家の奇襲を退け、〈従者〉の二重雇用という優位を得た藤堂誠と幸浦家の同志たち。
しかしチームの頭脳である山南武蔵は油断せず次なる獲物を探し求める。
一方、誠は闘儀の非道さに不服を感じ、割り切れない心情のまま戦いに赴く。
だが、そこには狡猾な罠が待ち受けていた――!
剣と悪魔のエリミネーションバトル、激動の第2弾!

1巻2巻ともに表紙は華やかなヒロイン。口絵にはなんと雲英お嬢様のおパンツまであるというのに…。
どうしてこの作品はこんなに男臭いんですかねえっ!?
ええ、知ってます。全ては誠の責任。山形さんの言うとおり「熱くてさわやかで大馬鹿」な誠が、僕は大好きです。

闘儀のルールの穴を突く方法で二人も『従者』を確保することに成功した雲英陣営。しかし人数の上では優勢なのに、不安が募るのは他陣営の動きが不気味なのと武蔵を除く三人が未熟なのもあるんだろうな。伸びしろに関しては間違いなく誠が一番なのだけれども、彼の成長を待っているほどの時間はない。当の誠はといえば、『従者』…アスモデウスの影響で欲求不満に陥りモンモンとする日々を送っていて、ある意味健全な男子らしいといえばらしいのだが、性欲に魘される誠の姿は面白い(笑)行きすぎようとする性欲を抑えるため、雲英と伊織に協力頂ける場面は、男臭いこの物語の貴重なお色気(死語)描写じゃないですかー!雲英も伊織も満更ではないところがまた良い。前回よりも幾分柔らかくなったように思える伊織だが、もっと素直になっていいぞ。このままだと雲英お嬢様の独壇場になっちゃう。

闘儀…死と隣り合わせの戦いに疑問を覚える誠。何とか死人を抑えて戦いに勝利したい誠の考えに同調する雲英ではあるけれど、それは同時に自分たちの命を危険に晒すことに繋がる。それを良しとする武蔵ではない。義理と人情に生きる誠の考えを知りながらも、合理的な判断を下して敵の命を奪う武蔵の行動を果たして批難出来るものなのか。事実、武蔵の行動がなかったら雲英は死んでいた訳だから。誠も武蔵も雲英も伊織も…四人が四人を想い合うがゆえに起こる摩擦が心を軋ませる。そして失敗の先にある末路が、四人だけの戦いを強いられる彼等にとってどれほど辛いものか…考えるのも嫌だろう。
しかし考えてしまう。だからどんな手段を使ってでも勝たないといけない、と武蔵を思う。悲惨な運命を吹き飛ばすために、熱く滾る思いを抱えて突き進む誠を、敵は歩みを止められない。
絡みつくような策謀が誠たち『従者』を襲おうとしている。弱っている武蔵はいったいどうなるのか。誠、雲英、伊織の未熟な三人でこの危機を乗り越えておくれー!!