飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「覇道鋼鉄テッカイオー 3」感想

覇道鋼鉄テッカイオー 3 (覇道鋼鉄テッカイオーシリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)

覇道鋼鉄テッカイオー 3 (覇道鋼鉄テッカイオーシリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)

〈あらすじ〉
かつて父の仇によって撃ち込まれて以来、ルゥランの身を蝕んできた時限陰毒殺。
その治療法が見つかったとの報せに歓喜するカザンたちは、治療法を知る電子妖精・ポラリスを完成させるためのスーパーコンピューターを輸送していた。
そこに襲撃してきた謎の邪道鋼鉄を、からくも退けた一行のもとに援軍が到着する。
それはカザンが幼い頃に別れた義理の姉・ミザカだった。
久しぶりの再会を喜ぶ二人だが、ミザカには秘めた想いがあって…?
一方、ルゥランの病が治れば、カザンとルゥランが結ばれることへの障害も取り除かれることとなる。
だが、カザンの胸には暗黒武〓・ミャウ=ガーのある言葉が突き刺さっていて…。
第10回SD小説新人賞大賞受賞シリーズ第3弾!

生涯童貞。
なんという言葉だ。男として、これほど覚悟のいる言葉はない…!
え?覚悟が無くても生涯童貞パターンもある?そういう怖いことは言わないで下さい!

愛ゆえに傷つけ合う。
「ルゥランと結ばれた後、生涯彼女に庇われながら生きていくのね」
ミャウ=ガーの残した言葉が、カザンの心に深く根差していた。大切なルゥランを病から救う」ことだけを考え続けてきたカザンにとって、その先に待っているものは幸福と引き換えに無くす己の力。大切な女性を護るために力を欲し得たにも関わらず、最後にはその大切な女性に護られなければ生きることも出来ない自分の姿を想像して落ち込むカザンを見て、心配しないルゥランではない。カザンの内情は分からない。でもカザンがルゥランを大切に思うように、ルゥランもまたカザンを慕っている。だからこそ、カザンの口から飛び出た苛立ちの言葉が、尖った凶器になりルゥランの心を傷つける。
これほど互いを思い遣っているのに…上手くいかないこの状況がとても苦しい。それを一番感じているのが二人の関係を想うアルフェミナで、彼女の情の深さを改めて知る。

愛に苦しんでいるのはカザンたちだけではない。カザンの義姉であるミザカも、弟を想い復讐心に囚われている。いったいこの状況に誰がした…銀河第一武侠の壊れた心が引き起こしたことが、至るところで愛憎を産んでいる。とんでもねえ爺さんだな…。
愛情に歪みを持たされたカザンの心を救うのは、やっぱりルゥランちゃんしかいないよね。彼女あまりにストレートな愛情表現に目を覚ます他ないって(笑)ルゥランのため、男としての自分のため、生涯童貞を誓ったカザンに放った一言は全くその通りで、カザンの心を焚きつけるには十分。これでまた愛する女性のためにがむしゃらに走れる。ほんとルゥランちゃんはカザン君のことを分かってるな!!