飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「棺姫のチャイカVIII」感想

棺姫のチャイカVIII (富士見ファンタジア文庫)

〈あらすじ〉
 禁断皇帝アルトゥール・ガズを討ち滅ぼした『八英雄』のひとり――シュテファン・ハルトゲン公王。彼が統べるハルトゲン公国で開催される武闘大会の賞品は、なんと『皇帝の遺体』そのものであるという。しかも公王の傍らには、双子のようにそっくりな二人の“黒き”チャイカが付き従っていた――。
 優勝して『遺体』を手に入れるために、大会への参加を企図するトールたちは、それぞれ同じ目的で集った紅チャイカとダウィード、そしてジレット隊のヴィヴィとニコライと、因業深き再会を果たす。
三者三様の想いと、仄暗き策謀が渦巻く武闘大会の“戦場”で、命を賭した争闘の幕が切って落とされた!

皆様、もうお気づきとは思いますが、一番可愛いチャイカは紅のチャイカです。常識が分かっている、という意味でも一番良い子のチャイカだと思います。

白のチャイカに紅のチャイカ、そしてチャイカに成ったヴィヴィに、謎の双子の黒チャイカ。もうチャイカだらけで何が何やら。まあそんな中で、自分の存在に悩むのが白チャイカ。と、同時にトールとの関係にも悩むことになる。トールと一緒にいる理由…ガズ皇帝の遺体集め。それが自分の意志によるものでなければ、トールとの関係も成り立たなくなるのではないか?

人らしい感情を見せ始めるチャイカ。またトールもトールで目的さえ与えてくれれば生きる理由になる…とはいうものの、乱破師として、そもそもそんな想いを抱くことが乱破師失格で、その点において新たな敵になるシンは一切の感情を排除した真の乱破師として、トールたちに襲いかかる。

ひとつでもなく、ふたつでもなく。数多の「目的」とそこに集まる意志が複雑に絡み合い、物語は進んでいく。今回、冒頭にて八英雄のガズ皇帝討伐シーンがあったけれど、もうこの死人にみんながみんな、面白いほど振り回されているよなあ。