飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「キルミルカタル 眼ノ宮瞳子の眼球探し」感想

キルミルカタル 眼ノ宮瞳子の眼球探し (ファミ通文庫)

〈あらすじ〉
今日も今日とて特出した理由もなく殺人に耽っていたら、最悪な奴に遭遇してしまった。郷弥視央、この世で最も嫌いな幼馴染みだ。しかも――眼ノ宮瞳子という名の、怯えた眼帯少女まで一緒に。どうせなんか企んでいるだろうと思ったら、瞳子が失くした眼球《魔眼》を探せだと……。持ち主は殺人に引き寄せられるからって、そんな眉唾な話。お前に弱みを握られてるんだから、従うしか選択肢はないんだよな? 第15回えんため大賞特別賞、殺人鬼と魔眼が織り成す狂気【マッド】で異常【サイコ】な罪悪綺譚【クライムテイル】。

パッとイラストを見て「眼帯美少女」は結構インパクトあるよなあ、と。その下にある眼は、一体どういうものなのか。想像力を掻き立てられる。

特に深い理由もない。ただ呼吸をするように人を、殺す…殺人鬼の少年・切原刃は、その日も当然のように殺人をしていた。その現場に現れたのは、刃が心の底から嫌う幼馴染の少女・郷弥視央。歪んだ愛情を刃に向ける視央は、ある少女を連れていた。眼帯をした少女・眼ノ宮瞳子は、無くした自分の眼である『魔眼』を一緒に探して欲しいと言う。不幸を呼び込む『魔眼』…殺人鬼であり、不幸を与える存在そのものである刃の元にいることで『魔眼』を回収できると考えた瞳子との奇妙な交流が始まる。

殺人鬼、殺人鬼、また殺人鬼の殺人鬼パラダイスだぜ!ヒャッハー!
……まともな人はいないんですかね?
と、困ってしまうくらい異常者ばかりが登場するこの作品。感情的なものなど一切なくただただ人を殺すことがライフスタイルになっている刃という狂人を主人公に、彼の周囲に集まる殺人鬼の理解しがたい思考を追いかける。あまりに気軽に人を殺すため、特に人死に描写に抵抗の少ない僕でも「流石にやりすぎでは…」と思うほど、人殺しに理由がないのだ。いや、人を殺す「理由」についても見出していくことになるのだが……。

どうも登場するキャラクターにしても、殺人を中心に進む物語にしても、没頭できないのは理解しがたいことを多すぎるからだろう。なかなか「納得」が得られないのが辛い。後半からは刃がまともな人間に思えてしまうくらい、狂気に満ちていたからなあ…尖った作品といえばそうなんだろうけど、どうにも受け入れがたい作品だった。