飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「韻が織り成す召喚魔法 ―バスタ・リリッカーズ―」感想

韻が織り成す召喚魔法 ―バスタ・リリッカーズ― (電撃文庫)

〈あらすじ〉
校則の守護神と呼ばれるカタブツ生徒会長・音川真一の前に現れた、クソ迷惑でウザい悪魔少女・マミラダ。彼女に無理矢理キスをされ、契約を結ばされてしまった真一は、とある能力を手に入れた。それは――。
「サタニックマイク! 相手を強制的にラップバトルに引きずり込んで、バトルの敗者を支配できる魔法だよ。よーよー!」
韻を踏んだフレーズで即興歌詞を紡ぐ真一の言葉が、強力な召喚魔法となって吹き荒れる。規律を守らず、真一に逆らっていた学院の問題児たちまでもが、ラップ魔法に打ちのめされて命令に従うのだった!!
「人前であんなに恥ずかしい歌を歌うなんて、人生の汚点だ…」
「超かっこよかったよ! よーよー! さすが私の旦那様候補? 魔王の素質アリだね」
そしてはじまるマイクバトル、命を賭けたマジバトル、時にあの娘のハートにラブバトル。風紀を守る生徒会長はゲット快調!

第20回電撃小説大賞金賞受賞作。
ラップってあれでしょ、「ダヨネー、ダヨネー」っていうアレでしょ。僕だってそれくらい知って…あっ、歳がバレるのでこれ以上は止めますね、はい。

「校則の守護神」とまで言われる生徒会長の音川真一。校則を僅かでも乱す生徒を見つけると注意せずにはいられない真一を煙たがる人は多く、当然友達もいないため孤独な学園生活を過ごしていた。心に湧き上がるドス黒い感情を抱えながら、生徒の模範となろうとする彼の前に出現したのは、なんと悪魔っ娘。メフィストフェレスの娘アミダラを名乗る美少女悪魔と強制的に契約を結ぶことになり、彼女からとある力を与えられる。悪魔のマイクを使い、繰り広げる召喚ラップバトル。その敗者を支配できる力に、負のエネルギーを持つ真一は次第に魅せられて行く。

人に嫌われようとも、あんなに毎日を真面目にコツコツ生きていたのに、人は簡単に堕ちていくんだね、ぐすん。
「お前はもっと肩の力を抜け」とアドバイスしたくなるほど真面目な少年・真一が出会ってしまった悪魔っ娘のアミダラ。真面目に生きながらも、心の中は他人への嫉妬で一杯の真一には十分すぎるくらいの負のエネルギーで満ちていた。その負のエネルギーを迸らせる先は、ラップバトルです!韻を踏み吐き出させる言葉の呪文に乗って、召還されたモノが相手を攻撃。負けた方は屈服させられてしまう。つまり非行に走り言うこと聞かない相手はラップバトルで倒してしまえば良い!

勿論悪魔の力には代償が必要。真一を気に入ってしまったアミダラの力を使う度に、少しずつ魂を削られていき、やがてはアミダラのモノになるのだ。それを知っても尚、真面目な真一であっても力を使いたい欲求には逆らえない。あれだけクリーンだった生徒会長様が、暗黒面にズルズルに引き込まれながら堕ちていく様は可笑しい。