飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「俺と彼女の青春論争」感想

俺と彼女の青春論争 (角川スニーカー文庫)

〈あらすじ〉
14歳で人生をドロップアウトした高志は、灰色の高校生活を送ることを決意。ところが同じクラスの全力少女・向原玲に、謎の部活「かたれ部」の活動に巻き込まれてしまう。高志と彼女の青春論争が開幕!?

表紙に惹かれて購入し、新人賞作品であることを知る。角川スニーカー文庫の新人賞作品を読むの、久しぶりだなあ、と。

超有名な進学校からドロップアウト。地元に戻り、普通の高校に入学した高志はこの年齢で人生を諦めていた。何もせず、何も期待せず、ただただ過ぎ行く時間を見送るだけの高校生活を送ろうとしていた高志であったが、何事にも全力で当たるクラスメート・向島に目を付けられたばかりか、不用意な発言のせいで彼女が作った部活に強制入部させられてしまう。「自分の言葉で自分を語ろう!」という目的を持つ「かたれ部」は部員集めをしながら「自分のことを語らない・語れない・語ろうとしない」生徒たちの手助けを始める。

「主観こそ全て」という考えはあるけれど、14歳で人生に絶望し、斜に構えて生きる高志には確かに振るい立つよう言葉を浴びせかけたくなる気持ちは分かる。そうでないと僕のようなおじさんが可哀想でしょう……まだだ!まだ人生に絶望しない!(空元気)

そしてもうひとり。灰色学園生活を送ろうとする高志を引っ張り回す全力少女こと向島。本来、この手の「全力少女」は好みのキャラクターなんだけど、向島はちと強引すぎるのと発言が痛々しいのがあって、かなり苛立ちを覚えるヒロイン。序盤は主人公にしてもヒロインにしてもストレスを感じながら読まなければならないのが辛いかな。物語も中盤になると、二人の性格が柔らかくなってくるので多少、読みやすくはなる。

自分を飾り立てて殻に閉じこもってしまった生徒たちをそこから脱皮させるため、高志と向島…「かたれ部」は奔走する。青春、なのかな。他人とっては大したことじゃないけど、当事者にとっては大問題、といった感じの悩みを解決させようと、人生諦めたはずの高志が言葉をぶつけていくが、まあブーメランになって自分に跳ね返る訳ですね。