飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「グラウスタンディア皇国物語2」感想

グラウスタンディア皇国物語2 (HJ文庫)

〈あらすじ〉
海賊に扮して罠を張っていた四千のリジア海軍を相手に、少数の軍勢で勝利を収めた《皇国七聖》の軍師クロム。その際に得た800名余りの捕虜を交渉材料とし、クロムは皇女ユースティナのお付きとして開戦の緊張高まるリジアとの会談に臨むことに。しかし会談の直前、クロムは皇太子ダカットから急遽、不可能とも思える敵情視察を命じられてしまい!?

「誠実」な人間であることはひとつの才能なのかもしれない。人は一朝一夕では「誠実」にはなれない。「誠実」であるフリなら出来るだろう。でも本当に「誠実」な人間の言葉には、人の心に訴える力がある。

グラウスタンディア皇国とリジア宗旨国家は戦争に突入する。その中で自分たちの国をより良くしようと、あるいはこのままではいけないと、そう思う人々がいた。彼等、彼女等の訴えかける言葉に心を動かされる人々の可能性…耳を貸そうともしない人々の腐敗…「誠実」な人を中心に描き出される国内事情は、非常に分かりやすい。一方で、「誠実」な人間同士が戦わないといけない戦争の虚しさを感じる。

押し寄せるリジアの軍勢に対して、クロムはどんな対策で応じるのか? ユースティナはフィフニスには、ただクロムを頼りにするだけの女性で終わってはいけない。彼女等の更なる活躍に期待したい。