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飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。9」感想

ライトノベル ガガガ文庫

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。9 (ガガガ文庫 わ)

〈あらすじ〉
もうすぐクリスマス。小さい頃はプレゼントがもらえる日だったが、今はもう違う。何より、願うことも、欲しいものもなくなってしまった――。生徒会長選挙の日以来、何かが決定的に終わってしまった関係を引きずりながら、逃げ出さないため、ただそれだけのために部室に集まる八幡たち。そんな折、新たな依頼を持ち込んだのは、先の選挙で生徒会長となった一色いろは。他校との合同クリスマスイベントを手伝って欲しいという依頼に対し、一人で行動しようとする八幡だが、一筋縄ではいかない依頼に事態は次第に悪化していく……。

クリスマス。
ある人にとっては幸せを実感できる日であり、ある人にとっては単なる平日・休日に過ぎない日であり、またある人にとっては幸せを妬む日である。人口比率からして幸せを感じられない人の方が多いから即刻クリスマスは廃止するべき。

冗談はともかくとして。
クリスマス。
比企谷八幡にとってもクリスマスは大方の人間と同じく幸せを味わえる日ではない。無邪気な子供の頃とは違う。そしてこれからも幸せとは縁遠い日である、はず…だった。

生徒会長となった一色いろはが奉仕部に持ち込んだ新たな依頼。近隣の高校と合同で行うことになったクリスマスイベントの手助けをして欲しいといういろは。しかし選挙以来、雪乃との関係に溝があることを感じていた八幡はこの依頼を断るものの、生徒会長に推した責任から個人的にいろはを手伝うことに。いろはと共に他校との合同会議に参加した八幡であったが、意見ばかり集め、議論することを捨て、結果が伴わない無意味な話し合いを受け、次第に苛立ちを募らせていく。

人間誰しも失敗なんかしたくない。成功し続けられればそれが一番良い。でもそうはいかないのが人生。失敗、失敗、また失敗。いつか致命傷になるかもしれない失敗。取り返しのつかない失敗。だから失敗なんかしたくない。

失敗は失敗として存在する。その失敗を覆い隠すために人は取り繕う。仕方のないことだった、と。言葉で、態度で、必死になって失敗を取り繕う。その行動は非常に人間らしくて、醜い…でも、人はなかなか取り繕うのをやめようとはしない。

八幡と雪乃。
二人に共通しているのは、ひたすらに正直なところ。それはもうバカがつくくらい、生き方が下手クソだった。
そう、「だった」だ。八幡と雪乃。この二人は「取り繕う」ことをしなかった。ただ思ったことを素直に相手にぶつけていた。それをしなくなったのは、何故?

八幡は雪乃という人間を分かっていると思っていた。雪乃は八幡という人間を分かっていると思っていた。違う。思い込んでいた、だ。人は時間と共に変容する。人の輪の中にいれば変わってしまう。時には変わらない人間もいるが、そういった人間はいつの間にか輪の中から弾き出されて、消えて、見えなくなってしまう。

八幡も雪乃も。
輪の中から弾き出されてしまう人間ではなくなっている。二人は変わっている。お互いが思っているような、勝手に理解した相手では、もう、ない。ならば言葉を尽くさなければならない。相手を理解する、なんて傲慢な言葉を使ってはならない。ただ少しでも他人を知るために。八幡は雪乃に言葉を紡ぐのだ。想いを込めた言葉が、人に…変われる人に、届かない訳がない。そこには結衣もいる。離れかけた八幡と雪乃を引き寄せる、暖かい心を持った彼女がいる。

果たして八幡は幸せになれるのだろうか?
そんなことを八幡が聞いたら、思いっきり顔を顰めて吐き捨てるように嫌味を言われるに違いない。余計なお世話だと。正直に言わせて頂ければ、八幡の幸せなんか僕は望んでいない。僕が望んでいるのは、雪乃の、結衣の、幸せだ。いや、幸せなんて意味の曖昧な言葉はいらない。雪乃と結衣に笑っていて貰いたい。ただそれだけなんだよ。