飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「ダブル・ロール! 坂崎良太郎16歳。ただの高校生ですが勇者と魔王もやってます。」感想

ダブル・ロール! 坂崎良太郎16歳。ただの高校生ですが勇者と魔王もやってます。 (富士見ファンタジア文庫)

〈あらすじ〉
「良太郎さま、どうか我が国をお救いください——」
俺、坂崎良太郎16歳は、ある日突然異世界に召喚され、勇者として世界を救うことになった。こんな可愛いお姫さまに頼まれたら、「任せておけ!」って言っちゃうでしょ!
しかし、張り切って引き受けた直後、なんのブームか再び別の誰かに召喚されてしまう。
「喜べ、貴様をこの国の魔王にしてやる」
あれ? この世界、俺が勇者やる世界と
同じじゃね?
これって自分で自分を倒さないと元の世界に帰れないってこと!?
究極の無理ゲーファンタジー、スタート!!

『勇しぶ』完結から日が浅いですが、もう新作です。今回も勇者と魔王を題材にしたファンタジー。左京潤さんのコミカルな読み口が非常に良かった。

普通の高校生・良太郎は異世界に召喚されてしまう。しかも『勇者』になり、世界を救えと無茶なことを言われ、最初は断るものの可愛いお姫様にお願いされてしまい前言撤回、勇者になることに。かと思えば次の瞬間、魔族に召喚されて今度は魔王になるよう言われる。こちらも最初は断るものの、可愛い先代魔王の娘にお願いされてしまい了承。魔王になることに。こうして勇者であり魔王でもある良太郎は世界の平和を保ちため一人二役のファンタジー生活を開始する。

ストレスフリーと言いますか。とにかく抵抗なく軽快なテンポで読み進められるのが良いところ。良太郎は、人族と魔族の可愛い女の子の甘い言葉にころっと乗せられて、勇者だけではなく魔王にもなってしまうアホな高校生。無計画にもほどがある。人族と魔族の間を便利な瞬間移動で行ったりきたり。二つの種族は互いを敵視しているが、内側からそれぞれの陣営を伺うと悪い者など存在せず、ただただ偏見のみでいがみ合っていることが分かる。

無理難題を受けてしまい、「しまった…」と後悔する良太郎は、何とか異世界を脱出しようとするが、その最中、出会った仲間の窮地を助けようと男を見せてしまうことからドツボにハマる。こうなった勇者と魔王をやりこなして平和な世の中を築こうと思い出すのだから、まあアホの子だよね。だがそれが良い。良太郎を中心に毎回アホなことをてんやわんややってくれるのを期待します。