飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「異世界魔法は遅れてる! 1」感想

異世界魔法は遅れてる! 1 (オーバーラップ文庫)

〈あらすじ〉
「――魔術師、八鍵水明。全ての理に辿り着くことを志す現代の神秘学者だ」
現代に生きる魔術師である八鍵水明は、突如現れた魔法陣によって友人とともに異世界へ転移してしまう。だけど勇者として呼び出されたのは友人で、自分はそれに巻き込まれただけ!? しかも帰る方法がわからない!?
水明は魔王討伐の旅に同行することを断り、ありとあらゆる現代魔術を駆使しながら、もとの世界に帰る方法を探しはじめる――。
圧倒的な現代魔術と未知の異世界魔法が交錯する、「小説家になろう」発の大人気異世界ファンタジー、開幕!!

ほう…こいつがオーバーラップ文庫のなろうビジネスって奴か…ん?こんな時間に誰かきたよううわあなにをするやめ
はい、ここまで冗談です。冗談といったら冗談なのです。オーバーラップ文庫が『小説家になろう』の人気作を書籍化。二作同時の刊行となり、ひめすずさんのイラストが気になったので僕はこちらを読むことにしました。イラストを読む本を決めても良いよね、だってライトノベルだもの。byてりあ

気がつくそこは異世界だった。魔王の侵略という脅威に晒されている異世界に「勇者」として召喚された黎二…の巻き添えを食うように召喚されてしまった友人の水明。思った通り異世界の国王から依頼されたのは百万を超える魔王軍の討伐だった。「勇者」としての力に目覚めた黎二はその依頼をあっさり受諾。しかし水明はそれに巻き込まれては堪らないと、それを断り王城の一室に引きこもってしまう。水明のことを罵る者が多い中、ただひとり王国一の魔術師であり黎二達を召喚したフェルメニアだけは水明に対する違和感を拭えずにいた。水明の正体…それは現代では秘匿されている魔術師であった。

まず最初にこれを言わなくてはならない。すっごく読みにくいんですけど!冒頭から読み進めては状況を見失いページ戻り、また読み進めると状況を見失って戻る…を繰り返しながら読んでいた。この読みにくさを文章でどう他人に伝えるのか非常に難しいのだが…主人公たち同様、読者としても今どんな状況に置かれているのか分からないのは結構フラストレーション溜まる。

しかしまあそれも中盤まで。
折り返しまで読むと「この物語の楽しみ方・楽しむ展開」が見えてくるので読み続けるのが苦にならなくなる。

「異世界魔法は遅れている!」このタイトルの意味を飲み込んだ瞬間、なるほど無双が始まるのですね、そうなんですね!しかし主人公はあらすじにある通り、魔王討伐を誓う「勇者」の黎二ではなく、弱腰の引きこもり…その正体は異世界魔術の更なる先を行く現代魔術の使い手。異世界、おっくれってるぅ〜。

天才魔術師とまで言われ、天狗になっている「慢心女」フェルメニアの鼻っ柱をへし折り屈服させる展開そのものは良かった(変態)と思うけれど、回りくどいやり方をしておいて最後はとてもあっさり自分の秘密を教えていたのが気になるかな。

勇者たちは魔王討伐へ。そして現代魔術師の水明は異世界からの帰還の方法を目指して旅立ち。完全に屈服してしまったフェルメニアは水明の押し掛け女房になりそう。しかし国王、マジ良い奴だった。