飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「僕らは魔法少女の中 ―in a magic girl's garden―」感想

僕らは魔法少女の中 ―in a magic girl's garden― (電撃文庫)

〈あらすじ〉
僕らは、魔法少女に閉じ込められている。 
魔法少女『ホワイトノワゼット』。この限られた世界『空殻ファーム』を生み出した張本人であり、僕らの支配者。
『ノワ』は一週間に一人、生徒を生贄として求めてくる。もちろん拒めば命はない。この世界は、彼女の庭なのだ。閉塞と絶望という華が咲く『魔法少女の庭園』。
そして運命の時がやってくる。
次の生贄に選ばれた生徒、それは僕が最も愛する人だった。
僕は決断する。愛する人を護り、そして絶対の存在である『ノワ』の打倒すると。

「残酷系魔法少女モノ」とでも言えば良いのか。もうひとつの物語形態のジャンルのようになっているよね。魔法少女モノ=可愛らしい見た目とは裏腹に残酷かつグロテスクな感じ。なので、どうそのイメージを裏切るか、あるいは料理するかは腕の見せ所…なのかな。

人類は百分の一にまでなり、世界は終わった。その原因となったのは魔法少女。圧倒的な力を持ち、傍若無人に魔法を振るい、そして人の魂を喰らって生きる。魔法少女ホワイトノワゼットの作り出した密室空間…『空殻ファーム』と呼ばれる学園に閉じ込められた少年少女たちは、一週間に一度、ホワイトノワゼットに選ばれた生徒を生贄とし、魂を喰わせなくてはならない。逆らうと待っているのは無慈悲な死。しかし水無月岳哉は愛する女性が生贄に選ばれたことから、ホワイトノワゼットを殺す覚悟を決めるのだが……。

冒頭から前半戦は物語に置いて行かれます。それはもう圧倒的な突き放し方です。魔法少女という不死の強者が支配し、人類は魔法少女に飼われる家畜のように生かされている世界…と、いうことは説明されるのだが、どうもその説明が頭の中に浸透する前にガツガツと人が死んでいくので、ただただ展開に違和感を覚えてしまう。物語に対する「納得」が追いつかないというの
かな。

主人公である岳哉のクラスメイトの中に宿敵ホワイトノワゼットが潜んでいる。魔法少女を炙り出すために策を巡らせる岳哉だったが、とんでもない誤算と真実が彼を苦しめることになる。ホワイトノワゼットを見つけ出す、というミステリー要素(?)がこの作品のミソになるのだと思うが。どうしてもまとわりつく違和感を問題視するのか、しないのか。そして魔法少女の真意を理解して楽しめるのか、そうではないのか。この辺りがこの作品を面白く読み続けられるかのラインになるかと思う。