飼い犬にかまれ続けて

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「国家魔導最終兵器少女アーク・ロウ」感想

国家魔導最終兵器少女アーク・ロウ (富士見ファンタジア文庫)

〈あらすじ〉
巨大魔導兵器『虚神』の存在によって、剣と魔法、人と人による戦争が終わりを遂げようとしていた時代。魔法大国フレアリアの魔導学園に通うエルク・リードは世界への殺意を胸に秘めつつも、自らの無力さを呪い、無為な日々を過ごしていた。
「もう抵抗するな。世の安定のため、大人しく死を受け入れろ」
ある秘密を抱えたまま歴史の表舞台に上がることなく、幼馴染みによって殺されるはずだったエルクの運命は、謎の少女との契約で大きく捻じ曲がった。
「初めまして、マスター。スピネルはこれより——世界を殺すお手伝いをいたします」
対虚神用兵器『虚人』の力を手にした少年の叛逆革命戦記!

ラノベ作家さんが活躍の場を増やすのは、一人の読者としてはとても嬉しいこと。ガガガ文庫からデビューしたツカサさんが、講談社ラノベ文庫の次に新作を出すのが富士見ファンタジア文庫。出版社を股に掛けるぞ…!

剣の時代が過ぎ去り、魔法の時代が終わろうとしていた。エルファレスの開発した巨大兵器『虚神』によって変わろうとする世界。エルファレスからの留学生として魔導大国フレアリアの魔導学園に通う少年エルクは、第三皇子という身分を隠し、数少ない友達と共に平穏な日々を送っていた。しかしある日、友人のひとり…学園序列一位のミラが何者かに襲われ殺されようとしているところを助けようとするが、力及ばずエルクは命の危機に瀕する。しかも自分の命を奪おうとしているのは、エルファレスにいるはずの大切な幼馴染イスカ…激変した祖国の内情を知ったエルクに呼応するように、たったひとつの切り札…対虚神用兵器『虚人』が目覚める。

禁忌を侵し、魔法抵抗力の強い神の亡骸を使った兵器『虚神』を作り上げたエルファレス。魔導大国フレアリアと不可侵条約を締結し、その人身御供となったのはエルファレスの第三皇子エルクだ。母や妹、そして固い絆で結ばれた幼馴染。大切な人たちを祖国に残し、彼女等を想って日々を過ごしていたエルクの運命を大きく変える出来事。第二皇子のクーデター…優しかった第一皇子と母の死の知らせ。それをもたらしたのは、騎士としてエルクを守ると約束してくれたはずの幼馴染イスカ。彼女に殺されようとしたまさにその時、少女のカタチをした兵器『虚人』スピネルが目覚め、エルクの窮地を救う。大切な人を奪い、奪おうとする祖国…いや第二皇子と戦おうと決意するエルクであったが、フレアリアの権力者たちはエルファレスの皇子である彼にスピネルを託すことに難色を示す。それを払拭するため、プライドを捨て、場合によっては祖国を売ってでも敵を討とうとするエルクの覚悟が示される…これはそう、エルクというひとりの少年の大切な人を守るため、救うための覚悟の物語。

まずは始まり。世界観と設定のお披露目。魔法の効かない兵器の存在。そしてその魔法の効かない兵器を倒すために作られた兵器。前者の『虚神』は数多くいるのに対して、後者の『虚人』はスピネルただひとり。そんなスピネルを使役し、契約者のエルクはどう戦って行くのだろうか。普通に考えたら絶望的な戦い。絶望に屈せず、戦おうとするエルクの生き様を見守るのが、この物語の楽しみ方…それが最後に示されて、締めくくる。ミラとイスカ、ダブルヒロインも魅力であり、後々登場するであろうフレアリアのお姫様の存在も、恋愛模様に花を咲かせてくれそうだ。相棒であるスピネルの健気さも可愛い。