飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「カナエの星」感想

カナエの星 (電撃文庫)

〈あらすじ〉
世界には二つの『未来』がある。『新たに見出す可能性』へと進むか――『誰知らず降りる破滅』に沈むか――。
なんでも直感的に行動する少年・直会カナエ。とある相談を受け、古い校舎へと踏み入った彼は突如、謎の『星』へと飛ばされてしまう。そこで一人、待っていたのは『星平線のそよぎ』と名のる謎の少女。彼女は軽いノリで告げる。
「ズバリ、世界を救ってもらいます!!」
カナエは、新たな可能性の象徴『半開きの目』に選ばれ、世界を破滅に導く『ハインの手先』を止めなければならない……らしい。同じ頃、彼を慕う少女・一条摩芙も、何かを感じ、悩み、決断していた。
「『あれ』が動き出したら……私も、やらなきゃいけなくなる」
世界の『未来』を懸けた運命の戦いが今、始まる――!

Twitterのアカウントではたまに言うのですが、多くの少年の心を惹いた人気作『灼眼シャナ』が苦手な人間です。

何巻まで読んだか忘れましたが、劇的な展開が発生して「おっ!」と思ったのは覚えています。物語に燃える(あるいは萌える)ことが出来たものの、苦手だったのは「物語(展開)の良さを魅せなければならない文章」がどうにも受け付けず、挫折してしまいました。あるいは僕にもっと少年の心があれば…例えばライトノベルに触れたばかりの中学生だったら、別の感じ方をしたのではないかと思ったりします。

そんな『灼眼シャナ』のコンビが描く新作の主人公は、一度飛び出したら何処に飛んで行くか分からない、考えるよりもまず行動の中学生・カナエ。謎の星にて世界を救うように言われたカナエは、元の世界に戻り、他の人には見えない敵と戦うことになる。しかし世界を滅ぼそうとする敵の中には、カナエの幼馴染・摩芙がいた…という感じ。相変わらずザックリしたあらすじを書くのが僕クオリティ。

相変わらずといえば、相変わらずの独特な設定の数々。『灼眼シャナ』と同じように「この設定が何を意味するのか?どういう意味なのか?」を理解して呑み込むのに時間がかかる。そして前にも感じた通り、一度設定の意味を呑み込むと楽しさが分かる点もまた相変わらずなのだろう。

つまりこの一冊で『カナエの星』の良し悪しは分からないということ。今回は「世界を救う」というスケールの大きい目的の割にはコンパクトな範囲で物語が進行していたので、これからどんどん物語の風呂敷を広げて行こうと言うのが分かって楽しみではある。