飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「補習クラスのデバッガーズ」感想

補習クラスのデバッガーズ (ガガガ文庫 な 6-10)

〈あらすじ〉
「ものづくり」の専門家を育てる物部高校に通う千石新は、ロボット開発以外に全く興味無し!のガチンコ工学科男子。英語がダメダメで補習クラスに放り込まれた彼が出会ったのは、裁縫が得意で心細やかな家政科女子・安心院聖歌や、二次元嫁のため幾何学の補習を受けるガチオタ男子・狩谷一狼ら、各分野のエキスパートたち。校内で噂の「美少女の幽霊」を新が目撃した翌日、工学科のPCモニタが一斉に故障。その「バグ」にこそ、彼ら補習クラスの前に立ちはだかる事件の幕開けだった……。新感覚学園ラブコメミステリー、ログオン!

我等のいわさきたかし先生がイラストを担当していると聞いて飛んできました!しかも作者はあの夏緑さん……ゴクリ。さあ見せて貰おうか、夏緑さんの安定感とやらを!

友人も作らずロボット作り一筋の千石新。「ものづくり」のエキスパートを育てる物部高校で工学を専攻する千石は英語が苦手だったことから補習クラス入りとなってしまう。その補習クラスで新が出会ったのは、ウェディングドレス職人を目指す美少女・安心院聖花だった。家庭科の心優しい聖花に惹かれ始める新であったが、補習クラスの面々は学園を騒がす不可解な事件に巻き込まれ、真相を解き明かすために行動を開始する。

久しぶりの新作ラノベの感想になります。
夏緑。名前は知っているけど、たくさん本を出しているからどれから手を出していいか分からない。そう思っている貴方、とりあえず平台に並んでいる新作を読んでみなさい。その一冊を読めば「ああ、夏緑さんってこういう作風なのか……」と理解できるでしょう。素晴らしい安定感、読んでいて先行きが不安にならないこの物語運び。個人的にはハラハラドキドキする物語を読んだ後に、夏緑作品を読むとその良さが伝わると思っています。すごく和むのよ。

そして今回「も」、普通とはちょっと違うモノに情熱を注ぐ少年が主人公。新は「ロボット開発以外に全く興味無し!」と公式あらすじには書いてあるが、事故に遭い、身体が不自由になってしまった姉を、ロボットの力を使うことで再び動かせるようにするために勉強をする熱い少年だ。そんな訳でロボット工学に向き合う新は、聖花という女性に初めて恋をして、補習クラスの仲間たちと一緒にお約束のラブコメを展開していく。お約束といえば、夏緑さんお約束の「うんちく」も健在。学園で起こるさまざまな事件を解明する際にうんちくを語ります。流石はエキスパートたち。「ラブコメ+ミステリー」のキャッチコピーのとおり、ライトに物語を味わえる作りになっていて良かった。

良かった、と言えばそうです、いわさきたかしさんのイラストも良かったのです。
特に恋する聖花ちゃんのモノクロイラストはぜひ見て頂きたいので、夏緑作品体験と一緒に読んで欲しいなあ。