飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「運命に愛されてごめんなさい。」感想

運命に愛されてごめんなさい。 (電撃文庫)

〈あらすじ〉
我が校には運命力学に従って、毎週月曜日に転校生がやってくる。そして彼らは転校初日に全校生徒の前で予言を口にする。どうして? それが運命だからさ! そんなことより重要なのは、その週にやってきた転校生・シイナの予言だ。なんと僕・皐月純が今月中に生徒会長になるらしい! ひゃっほぅ!! これで学校中のかわいい女の子は僕のものだぜ!!
ところが、そうはさせじと現生徒会長・五十嵐優美センパイが予言の阻止に動き出す。でも、いくら運命に抗おうとしたってだめだよ。僕のシイナの予言によって、バラ色の未来は約束されてるんだから! はっはっは、運命に愛されてごめんなさ「純くんうるさいし気持ち悪いし臭いので口を閉じててもらえますか?」……こらシイナ、僕が喋ってるのに割り込まないでよ!

引き続き、電撃大賞作品感想になります。シリアスな大賞作品とはガラッと変わり、明るいおバカがバカを仕出かすお話で、読んでいてとても気持ちが良かった。

友達は少なく、これまで目立たない学園生活を送っていた男子高校生・皐月純。そんな彼の運命は美少女転校生・シイナのある予言によって大きく変わる。皐月純は生徒会長になる……運命力学に従い、毎週転校生がやってきては予言を告げる高校。その予言は絶対であるが、生徒会長という職とは無縁な皐月がいかにして生徒会長になるのか。これは運命に愛された男の物語である。

……正確には運命に愛された「おバカ」な男の物語ですね。絶対にそのとおりになってしまう予言によって、生徒会長となる運命となった皐月は圧政を敷く現・生徒会長に反旗を翻すと書けば格好が良いのだが、皐月は周囲に煽てられて調子に乗った単なるおバカです。そして生徒会長になったらなったで権力に魅入られる下衆っぷり。だがその人間らしさ100%の皐月の姿が実に面白い。

この作品の魅力は、「運命に愛されて生徒会長になり、可愛い女の子たちに囲まれてウハウハハーレムEND」で終わることなく、調子に乗ったことへの運命からのおしおきとばかりの「その後」が描かれること。因果応報とはこのことだけど、残念な気持ちにならず、楽しく読めるのはこの物語の主人公がおバカな皐月だからだろう。それと転校生・シイナが呆れながらも皐月の隣に居続け、的確なツッコミ(あるいは態度)をしていたのが良かったかな。