飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「我がヒーローのための絶対悪」感想

我がヒーローのための絶対悪 (ガガガ文庫)

〈あらすじ〉
街の平和を守るため、ヒーローに変身し日夜戦う少女・ミア。そんな彼女を見守る幼馴染の少年・武尊。平凡な高校生である彼には秘密があった――。 それは、彼こそがミアの倒すべき悪の組織の総帥なのである。武尊が悪に身を落とす理由。それは正義の味方として悪と戦うことを宿命づけられてしまったミアのために、敵として立ちはだかり続けることだった。悪の首領とヒーローの関係は二人をどんな運命へと導くのか。最愛の者を守るため、最愛の者と戦い続ける、正義と悪に彩られた青春ヒーローピカレスクロマンここに誕生!

「このライトノベルがすごい!文庫」デビューの大泉貴さんがガガガ文庫に参戦。ここ最近、デビューしたレーべル以外でも活躍する方増えたなあ。「ガガガ文庫らしさ」を込めたヒーローモノです。

「ヒーロー」ガイムーンに変身して戦う少女・ミア。「怪人」の総帥であるヘルヴェルム卿……その正体は高校生の武尊。正義と悪。ガイムーンとヘルヴェルム。敵対する二人であるが、ミアと武尊は「幼なじみ」という関係だ。なぜ武尊はミアと戦うことを決めたのか? そこには二人の悲しい「過去」が関係していた……。

正義のヒーローと悪の怪人がいる街。しかし怪人の親玉であるヘルヴェルム卿は数年前に倒され、怪人の勢力は衰退していた。そこに現れた二代目ヘルヴェルム卿は、怪人を引き連れ、再びヒーロー・ガイムーンと戦うことになる。この構図だけだと面白味がないので、「中の人」同士が親しい仲「幼なじみ」として、そして二代目ヘルヴェルム卿=武尊は悪となり戦うことにしたのか、に迫っていく。

前半はこの「何故」が見えず、少し展開に置いて行かれたところがあるが、ヒーローと怪人の戦いは最後まで熱く描写していて楽しかった。後半からは「何故」も明らかにされて、スッキリ物語を追いかけることができた。この暗い過去が良いね。僕は好きです。