飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

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「妹さえいればいい。」感想

妹さえいればいい。 (ガガガ文庫)

〈あらすじ〉
妹バカの小説家・羽島伊月の周囲には、いつも個性的な連中が集まっている。愛も才能もヘビー級、残念系美少女のハイエンド・可児那由多。恋に悩み友情に悩み夢に悩む青春三冠王・白川京。鬼畜税金セーバー・大野アシュリー。天才イラストレーター・ぷりけつ――。それぞれ迷いや悩みを抱えながらもゲームをやったり旅行に行ったり仕事をしたり賑やかな毎日を繰り広げる伊月たち。そんな彼らを温かく見守る完璧超人の弟・千尋には、大きな秘密があって――。『僕は友達が少ない』の平坂読が放つ青春ラブコメの到達点、堂々開幕!!

ええ〜〜!?平坂読さんがガガガ文庫に参戦だってえっ!?
作者プロフィールの「第0回MF文庫Jライトノベル新人賞」を見て懐かしい気持ちになりました。MF文庫Jというレーベルがほぼ無名だったあの時から支え続けてきた平坂読さんが他のレーベルで小説を書くとは……(しみじみ)

そこそこ売れっ子のラノベ作家・羽島伊月。彼の作品のヒロインは必ず『妹』であることが示すとおり、妹が大好きなちょっと頭のおかしい二十歳の青年だ……ちなみに伊月本人には義理の弟しかいない。そんな伊月が一人暮らしをしているアパートには常に客がやってくる。可愛い容姿の義弟・千尋、伊月ラブが止まらない後輩天才作家の可児那由多、伊月と同期デビューの人気秀才作家・不破、中退した大学時代の友人である白川宮。彼等は自然と伊月のもとに集まり、騒ぎ、楽しみ、そして悩みながら「青春」をする……。

実に……実に平坂読さんらしい「読みやすい」作品だ。読んでてストレスなんか感じない。ほんと気持ち良く読めて心底楽しいわ。

妹バカのラノベ作家・伊月は一見するとキモい言動の青年だけど、ちゃんと彼と向き合った人は不思議な魅力に引き寄せられる。ある種の天才・人たらしだと思う。能天気で悩みなんてなさそうに見える伊月だが、もちろんそんなことはなく、自分の才能に歯噛みすることはある。まあ伊月最大の悩みは「妹への愛」「妹がいない現状」だろうが……(笑)

人は誰しも少なからず悩みを抱えている。主人公である伊月の視点だけでなく、千尋、可児、不破、宮と順々に彼等の思考を覗き見られるところが面白い。みんなが集まって楽しそうにしている伊月たちはやたら眩しく映るけれど、その裏にはちょっとしたことで崩壊しかねない「何か」が確かにある。

「妹さえいればいい。」
このタイトルが示すとおりの結果になるのか。妹さえいれば、後は何もいらないのか。最後に明かされる千尋は、今後どんな爆弾となるのか……破裂するのか、それとも誰にも気付かれずに不発弾として終わるのか。続きこそ気になる作りにしておるのはある意味ズルいなあ。(笑)

あと平坂さんはボードゲームが好きすぎるでしょ、これ!(大笑)