飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「侵蝕レコンキスタ」感想

侵蝕レコンキスタ (オーバーラップ文庫)

〈あらすじ〉
僕たちは、救いのない世界で今日も生きていた――
生物を異形の怪物へと変貌させる特殊領域『侵蝕世界』に地表全土を覆われ二十年。
わずかに生き残った人類は先の見えぬ未来に怯える日々を過ごしていた。侵蝕世界の変異現象に耐性のある新世代『横断者』の誕生を見るも、そこに蔓延る不死身の存在『レグス』に行く手を阻まれ内部調査は難航する。
そんなある日、横断者の少年トール・カスガは侵蝕世界での活動中に一人の不思議な少女と邂逅を果たす。彼女との出会いは停滞していた情勢に思わぬ形で波紋を投じてゆく。命を懸ける価値がこの世界にあるのか――少年少女たちの世界奪還が始まる。

久しぶりにオーバーラップ文庫の新作に手を出します。記憶が正しければ、イラストレーターさんはTwitterでの「ラノベの仕事したい」タグがキッカケでの今回の担当だったような。そんな記憶があったのでふと気になり買ってみました。間違ってたらごめんなさいです。

地表を覆う謎の特殊領域『侵食世界』により、生物が異形化するようになって二十年。居場所を失った人類はその数を大幅に減らしながらも、空に浮かぶ箱舟の中で生き長らえていた。世界を再び人類が奪還する。その目的のため『侵食世界』でも異形化することなく生き続けることが出来る『横断者』……そのひとりである少年トールは、ある日、相棒のヒトミとの探索の途中、金髪の少女を発見する。その最中、異形化し不死身のはずの生物レグスを撃滅して見せた金髪の少女……アリソンを巡り、人類の命運は大きく変化することになる。

人類が強大な敵の攻撃によって淘汰される。そういう設定の物語が僕は大好きだったりします。『横断者』の力で地表上を行動出来るようになったのはいいが、無敵のレグスに行先を阻まれて調査が進まず、『侵食世界』への理解が大幅に遅れていた……ところに現れたレグスを倒すことができる能力者。トールたちはアリソンとの絆を深める一方、『横断者』そしてアリソンの世界を奪還する駒としか考えていない大人によって、少年少女たちは生命を賭けた戦いを強いられる。分かりやすいほど分からない物語のライン。「安心して読める」という感想を抱くが、同時に「先が読めてしまう」展開でもある。サクサク読めて気持ちは良いのだけど、あっさりし過ぎて主人公トールを始めとするキャラクターに対する「愛着」、世界観への「理解」が得難いところはある。マサキや他チームのキャラクターは出さず、トール、ヒトミ、アリソンの三人にしっかり焦点を当てて物語を進める作りの方が面白く出来たように思える。

1巻完結ではなく続きを想定しているので、これ、もしかすると発売するならば2巻以降の方が面白い展開になるのでは、と思ったりもするので今後に期待したいなあ。