飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「レオ・アッティール伝 (1) 首なし公の肖像」感想

レオ・アッティール伝 (1) 首なし公の肖像 (電撃文庫)

〈あらすじ〉
西のアリオン王国、東の聖ディティアーヌ連盟と二つの大国に挟まれたアトール公国。その第二公子、レオ・アッティールはアリオンへ人質同然で送り出され、辺境の太守のもとで武芸と学問に励んでいた。
そして時代は転換点を迎える。
アトールと接する中立勢力・コンスコン寺院とアリオンの関係が悪化したのだ。アトールからの援軍パーシー、コンスコンの僧兵カミュ、僻地から来た傭兵クオンは協力して迫りくるアリオンの軍勢に対抗しようとする。その戦いの最中、三人とレオは運命の出会いを果たす――。

電撃文庫の新刊発売日に新刊台を眺めて、「これは手堅いに違いない」と、冒険することなく選びました。いやー、予想通り手堅い面白さでした。手堅すぎてある意味怖いわ。(笑)

東西を二つの大国に挟まれたアトール公国は、西のアリオン王国に第二公子レオを人質に取られていた。片田舎の将軍のもとで6年の人質生活を送りながらそこで様々なことを学び、17歳となったレオはある転機を迎える。アリオン王国と蜜月の関係に終止符を打つこととなったコンスコン寺院の対立。傭兵を集い、アリオン王国との戦争に備える中、コンスコン寺院には秘密裏に送り込まれたアトール公国の援軍があった。しかし秘密だったはずのアトールの勢力がアリオン王国にバレてしまい、人質のレオに危機が陥り……。

この戦記ストーリーが本格的に始まるのは、1巻終わりの数ページからです。それまでは上で書いた通り手堅い面白さを感じさせるだけのものでした。アリオン王国とコンスコン寺院の争い、アトールの介入……ただ状況に流されていたレオが最後の最後で覚醒します。頼りない少年レオが最後の数ページで印象をひっくり返して主人公になる瞬間が待っていますのでそれまでちゃんと読んでください。

レオが前面に押し出されるまではコンスコン寺院に集まった四人の「小英雄」を中心に展開される。彼らがかなり地味な活躍をするので先行きが(これから更に面白くなるのかという意味で)心配になったりしましたが。その内のひとり、セーラは表紙にレオとツーショットで描かれているのでヒロインかと思っていたのだけど違うんだねえ。ある意味、これは表紙詐欺なのでは?(笑)

レオを預かっている将軍クロードの娘フロリーがメインのヒロインです。地味可愛いです。まあこの無垢な可愛さがレオを羽ばたかせる原因になるのだけど。しかしこの作品の真の主人公はクロードさまなのではないかと思ってしまうほど好感度高い。