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飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「そんな世界は壊してしまえ ‐クオリディア・コード‐」感想

そんな世界は壊してしまえ ‐クオリディア・コード‐ (MF文庫J)

〈あらすじ〉
人類の『敵』――“アンノウン”の襲撃により世界が崩壊した近未来。湾岸防衛都市東京の学園に所属する朱雀壱弥は――人類を愛しすぎていた。全人類の発展のため、美少女の告白をバッキバキに叩き潰し、戦わない同級生の心をボッキボキに叩き折る。デート? カップル? それはこの世界でどんな意味が? なにもかもを論理で語れ。自分の正義を信じてやまない朱雀に、謎の転校生少女の調査任務が与えられ……? 「人類が好きか?」「大好きです!」「なんでもできるか?」「なんでもします!」ポジティブクズとドM天使が出会い、新たなる変態ストーリーの幕が上がる――! 
『変態王子と笑わない猫。』コンビが贈る青春ラブコメの最前線! 刮目せよ!

今回は『プロジェクト・クオリディア』作品だと分かって買いました!(何故か得意げ)
人気作家である三人がひとつの世界観をシェアして描き出す本シリーズ。橘公司さんが「神奈川」、渡航さんが「千葉」、そしてこの作品は「東京」を舞台に繰り広げられます。

謎の敵である「アンノウン」に辛くも勝利した人類。その大戦の間、コールドスリープしていた子供たちは目覚めると、眠りについていた際の「夢=世界」を異能の力として発現させた。未だ続く「アンノウン」の脅威に対抗するため、人類は力を持つ少年少女を集め防衛都市を築いた。ここは東京。世間ズレした思考を振り回す学生・朱雀は、同級生の鵜飼つぐみとコンビを組みある任務を与えられる。防衛都市の花形であり、「アンノウン」と戦う戦闘科……成績を落とし不適合者となった生徒を転科させること。しかし朱雀は不適合者を鍛え直せば問題ないと指導を開始するのだがこれが逆効果。心をへし折って次々転科に追いやってしまう。そんな中で新たな不適合者・宇多良カナリアと出会い、指導を始めるのだが……。

始めに言わせてください。この作品のイケメン主人公である朱雀はサイテーです。「最低」ではなく「サイテー」とカタカナで書いたのには意味があります。この主人公、僕は好きです。

『橘公司版クオリディア・コード』で世界観を知っていたので、異能の力『世界』については最初から分かっていましたが、この作品が初見の方は力の説明・設定を知るのが70ページ辺りになります。まあ大きな問題ではないかな。

頭のネジが外れているとしか思えないほど奇妙な方を向いてポジティブ思考な朱雀と、イケメンに釣られて告白してしまい玉砕、今や変人の窓口担当扱いとなり後悔の日々を送るつぐみ。見事なボケ・朱雀とツッコミ・つぐみの会話回しを見ていると、周囲の人間がこの二人を引き合わせたことに納得してしまう。この作品の魅力のひとつはやはりこの二人の夫婦漫才(?)にある。

命懸けの「アンノウン」との戦い。そこに足手まといは、不適合者はいらない。先輩なのにロリロリしい鷹匠、だけど学園次席の命を受けた任務。朱雀本人は不適合者に再起を促そうとしているのだが、誰が見ても心を再起できなくなるまで折りにかかってるようにしか見えません。本当にありがとうございます。そして天然でやってる朱雀が自分の意に反して人が辞めていくことに本気で疑問に思っているという。つぐみさんの苦労、分かるー。

さて。上で朱雀とつぐみの夫婦漫才に(?)を付けたのには理由がある。後半、転校生としてやってくる金髪美少女カナリアの存在。天然マゾっ気のあるカナリアと、朱雀とのおかしな師弟コンビの会話は噛み合っているようでまるで噛み合っていない。SとMってこんな感じか……だがそこが面白い。

コミカルな展開が大半を占めるこの物語。でも終盤、朱雀の考え方とカナリアの考え方が対立する。論理的で正しい朱雀の考え、感情的で愛のあるカナリアの考え。まるで違う考え方……生き方をしている二人は果たして。この作品も続きが想定されているようで、綺麗に幕を閉じていません。続きの巻ではスッキリできるかな。期待してます。